新安全基準成案まぢか ケーブル難燃性など課題 再度、事業者ヒア後に公表

原子力規制委員会の新安全基準検討チームは18日、電気事業者からのヒアリングを行った(=写真)。7月からの施行を目指す原子力発電所の新安全基準策定に向け、設計基準、シビアアクシデント対策のそれぞれについて取りまとめたたたき台に対し、被規制側からの意見を聴取したもの。同委は、意見を踏まえた骨子案の修正を21日に提示しており、これを受け25日に再度、事業者ヒアリングを実施した上で、31日に、成案をまとめる運びだ。

18日のヒアリングに出席したのは、中部電力、北陸電力、関西電力、四国電力、日本原子力発電の各社で、電気事業連合会名で新基準骨子に対する意見を取りまとめており、項目ごとに検討チーム有識者との質疑応答が行われた。

電事連で取りまとめた意見は、「事故の教訓を踏まえ、規制の枠にとらわれることなく、安全性向上に対し不断の努力を行っていく」との事業者サイドの姿勢を打ち出した上で、(1)国際的に説明性のある規制体系(2)新基準施行を待たず可能な限り早期に対応(3)仕様規定のみに縛るのではなく性能規定を基本(4)継続的な意見交換――の考慮を求めている。

個別の意見は、設計基準、シビアアクシデント対策を合わせ計17項目にわたっている。例えば、新安全基準骨子で、事故発生時に放出された蒸気、ガス等により、格納容器が損傷することを防止する手段として、フィルタ・ベントを設置し、さらに、その配管は他の系統・機器や他号機のベントと共用しないことを要求しているが、事業者側は、福島発電所事故の分析や海外事例も踏まえ、共用禁止ではなく、他への悪影響の防止を要求事項とすべきとして、既存の排気筒に接続する設計でも気密性確保が有効なことなどを説明した。これを受け、21日の検討チームで示された骨子案には、フィルタ・ベントの項目で、共用禁止に関し、「他の悪影響がない場合を除く」との文言が加筆されている。

一方、設計基準については、火災対策として「火災発生防止、火災検知および消火ならびに火災の影響の軽減の各防護対策を考慮した設計」を要求しており、21日の会合では、米国の仕様規定を参考にした評価ガイド案が示された。その中で、火災防護に関する不燃性・難燃性ケーブル以外の代替手段を用いる場合は、実証試験による有効性の証明を求める方向となっている。


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