月内に取りまとめ骨子提示 事故調フォロー会議 対策チェック進む

福島原子力発電所事故の国会および政府事故調査委員会でなされた提言のフォローアップを行う有識者会議(座長=北澤宏一・科学技術振興機構前理事長)の第3回会合が21日、東京・港区の三田共用会議所で開かれ、引き続き関係各省からの取組み状況のヒアリングを行った(=写真)。今回は特に原子力災害対応体制、被害の防止・軽減策などに焦点を当てた検討が行われた。

内閣府からは、複合災害を視野に入れた対策について、大規模な自然災害に対応する緊急災害対策本部と原子力災害対策本部との間で物資調達・輸送などの業務を連携協力して実施することや、中央政府と県庁や現地の各拠点をつなぐテレビ会議システムなどの通信設備、衛星通信などの整備のための予算措置を行っていることを説明した。

オンサイトの緊急時対応の強化では、官邸内に設置された原子力災害対策本部事務局のオペレーションルームに、その主力となる原子力規制委員長および専門職員が参集し、官邸の情報集約と意思決定を補佐する体制を整えたことなどを報告した。

委員からは、「海水注入やベントを行うことについて、規制委員会は単にアドバイスでいいのか。一義的責任は事業者にあるというが、責任の分担の明確化が必要なのではないか」との質問に、原子力規制庁は「オンサイトの責任は事業者自らが持つ。事業者の監視は電力本店で行い、規制委員と緊急事態対策監を派遣することになっている」と説明し、サイト内に派遣される規制庁の規制事務所職員は監視が主な任務であり、「現場で何かしろと指示することはない」とした。

別の委員からは、「情報が集まってくることを前提にしているが、福島事故の場合、情報が集まらなかったのが教訓。情報をどう集めて共有するのか」との問には、「情報収集については多重化、多様化を図る。現場の情報を取るには、現場の人間が判断できるように教育する。その情報を共有化し、関係者にも伝達する」と述べた。

北澤座長からは、「原子力防災の観点から、原子力教育のあり方についても考えてほしい。原子力安全研究についても、どこがやるのか検討してほしい」との指摘が出された。

今後のスケジュールでは、30日に電気事業者に対する取り組み、放射線による健康不安対策、諸外国との情報共有・支援受け入れ、被害調査、記録・伝承などについて審議するほか、政府の取組状況に関するフォローアップ結果の取りまとめ骨子について検討。2月6日にはフォローアップ状況の取りまとめ案を提示する予定となっている。

原子力規制委員会設置法案の参院採決の際の付帯決議では、福島事故が発生した毎年3月11日に、政府に原子力規制に関する取り組みの公表などを求め、二度と重大事故を起こすことのないよう、自らの取り組みを見直す機会とすることを要求している。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで