想定外なくす努力を 技術同友会 過酷事故防止提言

技術同友会は23日、福島第一原子力発電所事故を受け、「過酷事故を二度と起こさないための対策の提言」を発表した。提言は、10項目からなり、同友会のもと、元原子力委員長代理の齋藤伸三氏(放射線利用振興協会顧問)をヘッドとする「原子力発電所過酷事故防止検討会」で昨秋より検討されてきたもので、同日、齋藤氏他、元総合科学技術会議議員の阿部博之氏(東北大学名誉教授)らが文部科学省内で会見を行った。

提言は、設計基準を超えた事象に対し、安全設備が機能を発揮できなかった福島発電所事故対応に鑑み、過酷事故の防止・影響緩和策を目指すIAEA深層防護レベル4の対策を充実させるよう、基本理念とともに具体的安全策を述べた。

第1に、いかなる自然災害、人為事象も「想定外」では済まされないとし、「『想定外』を無くす努力こそが大切」と訴えている。その上で、原子力安全確保の体系確立と、運用のための指針・基準類の見直しにより、世界的に評価されるレベルに高めるべきとし、規制機関に対しては、深層防護レベル4の事故影響緩和の根本原則を策定するよう求めた。また、国と事業者は協働し、科学技術者の関わる学会等を軸として、広く国民とのリスクコミュニケーションを行い、原子力発電の便益とリスクに関するコンセンサスを得る活動に努めるべきとしている。

深層防護レベル4に対する具体策としては、多種多様な設備等の活用を含めた組み合わせを想定し、実効性ある方策を構築するアクシデントマネジメントについて述べており、その安全確保機能は、共通要因故障を排除した信頼性確保、位置分散による独立性などを考慮し、例えば、可搬式設備、移動式設備、接続口に多重性を持たせるといった柔軟な対応を求めている。さらに、専門職の設置、手順書作成、教育・訓練の徹底、規制機関による検査・監視にも触れ、継続的改善に努めるべきとしている。


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