使用済み燃料の乾式貯蔵施設 英国のサイズウェルBで

英国の稼働中原子力発電所のほとんどを所有するEDFエナジー社は14日、同国唯一の軽水炉であるサイズウェルB原子力発電所(=写真)(PWR、125万kW)用に、使用済み燃料の乾式貯蔵施設(DFS)の建設を開始すると発表した。

既存の貯蔵プールが2015年に許容量に達することから、これに間に合うよう2年間で完成させる計画。英国内で深地層処分場が利用可能になるまで、サイズウェルBが運転期間中に発生させる使用済み燃料はすべて、DFSで安全に保管することになる。

DFS建設計画に対する許可はすでに2011年7月に発給されており、昨年9月に地元の審議会が最終許可を与えた。同発電所では建設作業が地元の道路交通網に及ぼす影響を改善するため、約20万ポンドを先行投資。今年7月の完了を目指して、サフォーク郡審議会の高速道路部門が作業中であることを明らかにしている。

英国では1994年に酸化物燃料再処理工場(THORP)が操業を開始しており、海外顧客からの軽水炉使用済み燃料を中心に再処理。原子力デコミッショニング機構(NDA)は国内で稼働する改良型ガス炉(AGR)の残りの稼働年数から試算して、6200teU(ウラン換算トン)の使用済み燃料が残ると見積もっているが、このうち3分の1はAGRを所有するEDFエナジー社と再処理契約を結ぶ一方、残りの3分の2を再処理するか貯蔵するかの判断はNDAに任されている。

また、THORPでは海外の軽水炉から出た使用済み燃料300teUの再処理契約を抱えており、これらはセラフィールドで貯蔵中である。

これらの再処理契約を引き継いだNDAは昨年6月、契約済みの使用済み燃料はTHORPで「再処理するのが最も実行可能かつ効果的なオプションだ」との見解を公表する一方、操業上の問題を抱える同施設は、契約作業量を完了後、2018年に停止させることを決定した。

AGRの使用済み燃料については、これから発生する分も含め、2075年に深地層処分場(GDF)で処分を開始する決定が下るまでの間、中間貯蔵するという戦略計画を表明した。その際の重要条件として、(1)中間貯蔵方法について確実な合意を得る(2)既存の再処理副産物貯蔵タンクを増強することなく再処理契約が完了可能であることを実証する――を提示。THORPの停止までに契約分の再処理が完了できない場合に備えて、代替オプションの検討を続けるとしている。


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