原災踏まえ、津波対策強化 原子力規制委 新安全設計基準骨子まとめ

原子力規制委員会の専門家チームは29日、原子力発電所の地震・津波に関わる新安全設計基準の骨子案を取りまとめた。今後、パブリックコメントに付せられる運び。

規制委員会は、旧原子力安全委員会が昨年3月に整理した耐震指針の改訂案を引き継ぎ、法令に基づく安全設計基準として定めるべく検討を行ってきた。

このほど取りまとめられた新安全設計基準の骨子案では、地震および津波に対する設計の基本方針として、シビアアクシデントに至らないことを立地条件で担保する考えから、想定される地震動に対し十分な支持性能を持つ地盤に設置し、重要な安全機能を持つ施設は、将来も活動する可能性のある断層等の露頭がないことを確認した地盤に置くよう要求している。

施設の設計に用いる基準地震動については、内陸地殻内地震に関して、耐震設計上考慮する活断層を、後期更新世以降(約12〜13万年前以降)の活動が否定できないものとしているが、地震調査研究推進本部の見解も踏まえ、活動性が明確に判断できない場合は中期更新世以降(約40万年前以降)までさかのぼって、地形、地質・地質構造、応力場等を総合的に検討した上で、評価するよう求めている。

また、福島発電所事故を踏まえ、新たに設けられた基準津波については、地震の他、地すべり、斜面崩壊、火山現象などの要因やそれらの組み合わせも考慮し、施設に最も大きな影響を与えるものとして、数値計算を実施し策定することとし、個別の安全審査で妥当性が十分確認されなければならないとしている。さらに、津波に対する設計方針は、IAEAの安全文書も参照し、遡上波の流入、漏水による浸水範囲、水位下降による取水性低下、津波防護施設・設備、2次的影響など、6項目の設置許可基準を掲げている。

規制委員会では、今後、新基準施行までに、実際の運用に向けたマニュアルを整備していく考えだ。


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