規制委、新安全基準骨子案まとめ シビアアクシデント対策でテロも想定 7月の施行に向け パブリックコメント開始

原子力規制委員会は6日、原子力発電所の新安全基準骨子案を取りまとめた。昨秋の同委発足と合わせて改正された原子炉等規制法に基づき、外部専門家の参画を得て検討を進めてきたもので、担当委員の更田豊志委員が同日の定例会合で報告した。今後、パブリックコメントに付せられ、委員会規則条文として成案を作成した上で、再度パブリックコメントを行い、7月に新制度が施行される運びとなっている。

骨子案は、福島第一発電所事故を踏まえたシビアアクシデント対策と、設計基準に分かれており、項目ごとに要求事項を整理している。

シビアアクシデント対策では、意図的な航空機衝突等、テロによる炉心損傷発生を想定した「特定安全施設」も要求している。同施設は、原子炉建屋とは同時破壊を防ぐべく100m以上の距離を置くこととし、格納容器破損を防止するための機能を有する「第2制御室」整備などを求めている。

設計基準では、福島発電所事故の教訓を踏まえ、全交流動力電源喪失(いわゆる「指針27」)に対する設計上の考慮として、非常用所内直流電源設備が、原子炉の安全停止、停止後の冷却に必要な電力供給をできるよう求めているが、その持続時間については、シビアアクシデント対策の中で、恒設電源、可搬式電源、それぞれ24時間としている。

規制委の検討チームは、1月18、25日の2回にわたり、事業者からのヒアリングを実施した。その後、骨子案を取りまとめた31日の会合では、シビアアクシデント対策として要求する可搬式代替電源設備・注水設備の裕度について、1基当たりに必要な機能を果たせる性能の2倍に加えて、サイトとして故障時のバックアップと、点検保守による待機除外分を合わせた容量を要求する(いわゆる「2N+2」)ことに関し、チームの有識者からは、「裕度を持つことで、逆にリスクが増大しないか」といった意見があった。

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6日の規制委会合では、1月29日に検討チームが取りまとめた地震・津波に関する設計基準骨子案についても、島ア邦彦委員長代理より説明があった。


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