福島事故フォロー会議が報告書 国民目線で対策チェック 放射線とは別にストレスなどの考慮も

「東京電力福島原子力発電所事故に関し国会および政府に設けられた委員会の提言のフォローアップに関する有識者会議」(座長=北澤宏一・科学技術振興機構前理事長)の最終会合が6日、東京・霞ヶ関の合同庁舎で開かれ、報告書案を審議し、北澤座長が同会議のねらい、審議結果、今後の方向性などを記述した座長試案を提示し、一部の修文を除いて了承された。

座長試案の「はじめに」では、国会事故調査委員会と政府事故調査委員会が提言した各項目の上位概念として、「原子力利用についての受け止めと考え方、安全文化、国際的な視点などが存在し、こういった部分が、実効的な原子力規制や防災対策を進める上で重要であるとの認識を確認した」としている。

政府の対応策が、総合的な視点から有効な施策として実施に向けた計画が立てられているかという問題意識に立って、(1)いまだに多くの住民が避難を余儀なくされているという現実を踏まえ、(2)被災者の視点を含めた国民目線、現場目線で見ること、(3)科学的・合理的視点から、専門家としての多くの目と耳でチェックすること――といった観点から各省庁のヒアリングを行ったと説明。

ヒアリングに際して各委員から出されたコメントについては、(1)被災住民に対する政府の対応(2)原子力規制組織(3)原子力規制制度(4)危機管理体制の構築、安全・防災対策(5)事故原因および被害の全容解明、資料の保存など――の5項目に分類して整理した。原子力規制庁および各府省から提出された取組み状況の資料については、そのまま参考資料として添付した。

有識者からは、放射線被ばくの基準について、「被ばく線量による放射線の有害性について統一的な見解を示すことも大事だが、年齢による感受性の違いや、放射線に対する不安によって感じるストレスが原因で障害がでることもある。心配しすぎで片付けるのではなく、個々の違いを尊重することが大事」。防災体制の構築については、「震災関連死について、例えば当時65歳以上の方の中では、避難しなかったり、ゆっくり避難したりしていれば助かった方もいると考える。年齢別の避難のあり方についても検討が必要」――などの指摘が出された。


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