環境評価の予備報告書 印・ミティビルディ・サイト

インド原子力発電公社(NPCIL)は1月25日、ウェスチングハウス(WH)社製AP1000・6基の建設構想があるグジャラート州ミティビルディの建設サイトについて、環境影響評価(EIA)の予備報告書が完成したと発表した。国内で5か所の新設サイトを暫定承認しながら、地元住民の激しい反対運動により、はかばかしい進展がない同国だが、EIA案文はミティビルディ計画が立地地域に社会経済的な恩恵をもたらすのみならず、環境にも悪影響を及ぼすことなく利用可能であると明言。今後、環境森林省(MOEF)の専門家委員会(EAC)から最終報告書に対する承認を取得するため、公聴会等の開催を含め一層の精査が行われることになる。

インドでは現在、20基・478万kWの原子炉で総発電電力量の4%を供給。全国民が良質の電気にアクセス可能となるよう、2032年までに6300万kW相当の原子力発電設備建設計画を掲げている。

この目標を達成するため、政府は09年10月、5つの新設サイトについてプロジェクト開始前の予備活動を許す原則承認を発給。それらは国産の70万kW級加圧重水炉(PHWR)の建設を想定したハリヤナ州ゴラクパール(4基)とマディヤ・プラデシュ州チュタカ(2基)のほか、海外メーカーから100万kW以上の軽水炉輸入を想定した(1)グジャラート州ミティビルディ(6基)(2)西ベンガル州ハリプール(6基)(3)アンドラプラデシュ州コバダ(6基)――で、MOEFは(2)を除くすべてのサイトでEIA調査のための付託条項を提示していた。

ミティビルディのEIA調査は、2010年8月にNPCILがエンジニアズ・インド社に作業を委託。同社は夏季と冬季、およびモンスーン後の3季節について立地点から半径10kmの圏内で、大気や騒音、水質、地質、生物学、放射線学、および社会経済学の面から基礎データを収集し、建設計画による潜在的な影響を評価したとしている。

WH社は昨年6月、同サイトにおけるAP1000建設構想について、予備的な認可手続きやサイト整備など初歩的な作業の実施に向けた交渉を開始することでNPCILと覚書を締結。今回のEIA案により、同構想はようやく、覚書に沿って目に見える前進が見られたことになる。

なお、ハリヤナのサイトではすでに公聴会を実施済み。3季節のデータに基づく最終EIAがMOEFのEACによる審査に回された。その他のプロジェクトについてもEIAが進んでいる。


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