東北電 さらに地質調査 東通破砕帯は「活断層」 規制委有識者会合が報告書 今後、他の専門家からも意見聴取

原子力規制委員会の破砕帯調査に関する有識者会合は18日、東北電力東通発電所敷地内の断層について、「耐震設計上考慮する活断層である可能性を否定できない」とする評価報告書を概ね了承した。これに対し、東北電力は、新たに地質調査を実施するとのコメントを発表しており、今後、有識者会合は、他の原子力発電所の地質調査に係る専門家からの意見聴取、電力が実施する調査状況も踏まえ、最終評価を取りまとめる運びだ。

旧原子力安全・保安院専門家会合の指摘を受け、東北電力は昨夏より東通発電所敷地内破砕帯の追加調査に着手し、3月までの最終報告を予定していた。一方、規制委員会は、破砕帯調査に関する有識者会合を組織し、東通については12月13、14日に現地調査を実施した後、同月内に評価会合を二度開催、電力から説明を求めた。

東北電力は、敷地内断層を覆う第4紀の地層のずれ、亀裂、変形などの成因を、主として地下水位の上昇に伴い、粘土鉱物を含む地層や断層内物質が膨張するという「膨潤説」を主張したのに対し、規制側は、評価報告案で、現時点での調査結果から「膨潤だけに特定することは困難」と判断。また、断層の礫の配列を確認し、膨潤では根拠が乏しいことなどから、有識者会合は、敷地内のF―3、F―9断層が後期更新世以降(約12〜13万年前)に活動した耐震設計上考慮する活断層の可能性と結論付けた。

今回の評価会合を受け、東北電力は、「多面的なデータに基づく総合的な評価が必要」として、敷地内断層に活動性がないことを改めて確認する考えを述べ、合わせて、規制側の運営方法にも配慮を求めるコメントを発表した。追加で実施する調査は、断層破砕部の深部固結状況を詳細に分析するためのボーリング調査、水平掘削面調査などを予定しており、日本原燃他とも共同で実施している下北半島地質構造調査も参考にしながら、これまでの調査結果も含めて、今年12月までに取りまとめることとしている。


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