フィンランドのフェンノボイマ社 大株主が独社撤退分を購入

フィンランド中西部のピュハヨキでハンヒキビ原子力発電所1号機建設計画を進めているフェンノボイマ社は15日、昨年10月に独E・ON社が売却表明したフェンノボイマ社株34%を、同社の大株主がすべて購入したと発表した。ハンヒキビ計画には仏アレバ社と東芝が原子炉設計候補として入札に参加しており、E・ON社の撤退表明時には同計画の実現を危ぶむ意見もあった。しかし、同社株の66%を保有していたボイマオサケイティエSF社がE・ON社の持分を受け、100%の株式を保有したことにより、そうした不安は一先ず払拭された形。フェンノボイマ社は今年末までに原子炉供給業者を選定し、2020年頃の運開につなげたいとしている。

ボイマオサケイティエ・グループは、フィンランドの公営電気事業者のほか、鉄やアルミによる機器製造の大手企業や、国際的な鉄鋼メーカーなど電力多消費産業の67社で構成されている。総工費40億〜60億ユーロと言われるハンヒキビ計画で、今後各社の出資額が増額されるのか、新たな出資企業を募るのかについては今のところ未定と伝えられている。

E・ON社の撤退理由はフィンランドにおけるすべての事業および資産を引き上げ、その他の北欧市場に投資するというものだが、同国ではテオリスーデン・ボイマ社(TVO)が建設中のオルキルオト3号機計画(仏アレバ社製EPR)で完成期日がさらに遅延することが判明したほか、電力価格も下落傾向にある。こうした背景に加えて、ボイマオサケイティエSF社の中には原子力の専門企業もいないことなどから、今後、同計画でコストや建設スケジュールがオーバーする可能性を危惧する向きもある。

なお、同国では既存炉を操業するTVOとフォータム社の出資したポシバ社が、廃棄物の深地層処分場をオルキルオトに建設する許可を昨年12月に政府に申請した。2020年頃の操業開始を目標に、使用済み燃料を再処理せずに地下400〜500mの深地層に埋設する計画だが、対象は既存炉と両社による新規計画炉からの使用済み燃料に限られている。

このため、行き場が決定していないハンヒキビ1号機からの使用済み燃料管理については、経済雇用省の作業部会が(1)ポシバ社の地層処分場を拡張して処分(2)フェンノボイマ社が独自に最終処分場を建設する――の2案について検討。1月10日に「ポシバ社の培ってきた知見を活かすことが最も理に適った合理的解決法であり、費用効率も高い」とする最終報告書を経済省に提出した。「いずれの案を採用しても安全性に重大な差は生じない」との立場で両事業者が交渉を継続するよう勧告している。


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