フィンランド原発で東芝が交渉権 ハンヒキビ1号に160万kW級EU−ABWR EPR建設に次ぐ事業 中型炉の可能性も考慮

フィンランド中西部ピュハヨキで最大180万kWの原子炉新設を計画しているフェンノボイマ社は25日、優先交渉権を与える直接交渉の相手として日本の東芝を選定したと発表した。東芝も同様の発表を行った。この「ハンヒキビ1号機計画」には今年1月、仏アレバ社が東芝とともに商業入札書を提出していたが、フェンノボイマ社は今後直ちに東芝と160万kW級の「EU―ABWR」建設(=予想図)に関する契約交渉に入る。ただし、フェンノボイマ社は同計画に中型炉を採用する可能性についても検討を開始しており、この場合の候補メーカーは東芝とアレバ社にロシアを加えた3社。最終的な供給業者は年内にも決定する予定だとしている。

天然資源に乏しいフィンランドでは燃料の輸入に長く依存していたという事情があり、2002年にはチェルノブイリ事故後、欧州で初めて原子炉の新設を決定。現在テオリスーデン・ボイマ社(TVO)がアレバ社製・欧州加圧水型炉(EPR)を採用したオルキルオト3号機(OL3)を建設中だ。これに続いてフィンランド議会は2010年7月、TVOのOL4建設計画とフェンノボイマ社の新設計画に関する「原則決定」を承認したが、東芝はOL4計画についてもABWRを提案している。

今回、フェンノボイマ社がハンヒキビ計画で中型炉オプションの検討を開始した理由は、昨年10月に独E・ON社が同社株の34%を売却し、大株主のボイマオサケイティエSF社が今年2月にこれをすべて購入したことによる。ボイマオ社を構成する企業67社にはハンヒキビ計画実現に向けた意志に変更はないものの、潜在的オプションとしてネット出力が100万〜130万kWの軽水炉1基の建設を想定。候補メーカーには東芝とアレバ社のほかにロシアのロスアトム社を含めているが、これ以外の業者を選定する可能性もあるとしている。

東芝では中型炉設計についても日本で運転実績のあるABWRで対応可能との考えだが、フェンノボイマ社は3社の提案設計が国内の安全要件をすべて満たし得るかなどについて、調査と入札の2段階に分けて精査する。

取り急ぎ、3月末までに第1段階の予備評価として、技術的および財政的可能性のほかに経済性や許認可性の調査を建設日程の評価とともに終える計画。これに続く入札段階の交渉等については、取締役会の今後の決定に基づき、ケースバイ・ケースで詳細日程を詰めることになる。


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