ナタンズに新型遠心機 イランの核開発疑惑で新情報

イランの核開発疑惑に関して国際原子力機関(IAEA)が21日に作成した報告書で、同国がナタンズの燃料濃縮工場(FEP)に最新型遠心分離機を設置するなど、国連安保理決議等の義務事項に違反し続けていることが明らかになった。

査察活動への十分な協力が同国から得られず、未申告の核物質や活動の有無に関し信頼性のある確証が得られないため、IAEAはイランの核物質の全てが平和利用と結論付けることは出来ないと断言。これを受けた国連常任理事国の5か国とドイツは、26日からカザフスタンで始まった同国との8か月ぶりの協議で、事態の改善を図る考えと見られている。

この報告書はIAEAの天野事務局長が理事会用に作成した内部資料で、イランの申告施設における保障措置と安保理決議条項の履行状況を記したもの。それによると、遠心分離法による濃縮度5%の分離施設であるFEPでは、IR-1型遠心機の数が前回報告書より2255台多い1万2669台に増加。最新型で濃縮能力も格段に改善されたと見られるIR-2m型遠心機も初めて、180台が設置された。

また、核兵器関連の重要活動が広範囲に行われた疑いのあるパルチン・サイトへのアクセスは、同国に対する再三の要請にも拘わらず実現していないとしている。

こうした報告について米ホワイトハウスの報道官は、イランの出方により、同国がさらなる制裁圧力に直面し、国際社会から孤立していく可能性を示唆。イランの核開発を阻止するという米国の決意を改めて表明する一方、外交努力で解決に導く時間はまだ残されているとの見方を示した。


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