一国主義の脱却を提言 核不拡散研究会 最終報告書まとめる

遠藤哲也・日本国際問題研究所特別研究員/元国際原子力機関理事会議長は2月26日の原子力委員会で、自身が代表を務める「核不拡散研究会」の最終報告書「我が国の原子力発電・核燃料サイクル政策への提言―『一国主義』を脱却し、責任あるグローバル・プレイヤーへ」について説明した。同研究会は、細野豪志・原子力行政担当相(当時)が私的検討会として設置し、2012年2月より民間有識者4人のメンバーで検討を重ねてきた。5月には中間報告書を公表している。

同最終報告書では、日本はエネルギーの選択肢としての原子力発電と技術・人材の基盤を維持し、国際秩序と規範の形成・維持・改善に積極的に関与すべきとしている。

そのためには当面(1)事故から得られた知見を世界と共有し、国際社会からの助言を尊重して相互に学び合い再発防止を徹底するなど「原発事故への対応」(2)事業者と規制機関双方が原子力安全と核セキュリティの向上に対し不断に取り組むなど「実効的な安全規制体制の確立と3S統合」(3)政策の「柔軟性」を確保しつつ使用済燃料の中間貯蔵能力拡充や直接処分を可能にする法改正など必要な体制整備を行い、技術や人材の基盤の確立・維持とともに、プルトニウム計画を明確にするなど国際社会への説明責任を果たす「核燃料サイクル政策の徹底した検証、柔軟性・透明性の確保」(4)米国や他の原子力利用国と協調して国際秩序及び規範を形成・維持し、世界共通課題にも国際社会と協働していくなど「構造変化への対応」――が必要としている。

また長期的には、(1)米国等と協調しながらの構造変化への対応に加え、研究開発や事業についての国際的共同管理もふまえた「更なる国際化への取組み」(2)責任あるグローバル・プレイヤーであり続け、様々な不確実性に備えるため革新技術開発および国際化をすすめていく「技術及び人材の基盤の確立・維持および原子力発電・核燃料サイクル政策の柔軟性の確保」(3)引き続きプルトニウムの計画的な管理・利用や政策決定過程についての「透明性の維持」――などが重要としている。


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