福島以前のレベルに回復 米の世論調査で支持率上昇

米ビスコンティ研究所の2月の世論調査で、アメリカ人の原子力発電に対する支持率が福島事故発生前に近いレベルの68%まで回復していることが判明した。原子力が米国の全低炭素電源による発電量の6割を賄っているという事実にも拘わらず、原子力とクリーンな大気を強く関連付ける人の割合は40%に留まったが、10年以上にわたって稼働率8割台を維持するという良好な運転実績を背景に、性別や支持政党を問わず、原子炉の新設についても70%を超える国民が理解を示していることが明らかになった。

この調査はビスコンティ研が世論調査会社のGfKローパー社と組んで毎年実施しているもの。福島事故直前の2011年2月の調査で原子力利用の支持者は71%だったが、同事故の半年後にこの割合は62%に低下。この時の反対派の割合は35%にのぼっていたが、昨年9月に行った調査では「原子力は米国における発電の一手段としてその利用に賛成する」と回答した人の割合は65%まで回復。反対派の割合も29%に留まっていた。

今回、ビスコンティ研は2月8日から10日までの3日間、1000人の成人を対象に電話で調査を実施。原子力支持者の割合はさらに上昇して68%となったほか、強く支持する人と強く反対する人の割合は29%対13%と2対1以上に開いている。

また、回答者の73%が「米国の原子力発電所は安全・確実に稼働している」とした一方、そうでないとした回答者は24%に過ぎず、65%が「原子力発電所は最大規模の天災にも耐え得る」と回答。米国民の国内原発の安全性に対する信頼が明確に表れる結果になった。

さらに、原子力を重要な発電源とする回答者の割合も、前回調査の77%から81%に増加。これらの人々は、原子炉が連邦政府の安全基準を満たしている限り運転認可を更新することにも賛同していた。その上、73%が「今後10年間の必要に備えて、電力事業者は今こそ新しい原子炉の建設準備をすべきだ」と回答。67%は「最も近い既存の発電所サイトに新たな原子炉を建設してもよい」と答えたほか、75%が「世界の原子炉新設で米国の原子力産業が主導的役割を担うべきだ」とするなど、米国の原子力産業界に対する期待が拡大していることが見て取れる。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで