三菱重工の原因報告書が公表 米サンオノフレ原発

蒸気発生器(SG)の細管同士の接触破損で停止中の米サンオノフレ原子力発電所(SONGS)を所有するサザン・カリフォルニア・エジソン(SCE)社は8日、SGを製造した三菱重工(MHI社)による「根本原因分析と補足の技術評価に関する報告書」が公開されたのに関し、接触破損の原因となった設計パラメータについては許容範囲内との説明を受けていたと釈明した。

SONGSでは昨年1月、3号機(PWR、112.7万kW)の新しいMHI社製SG細管から微量の放射能が漏洩。この時、燃料交換等により停止中だった2号機(3号機と同型)でも、MHI社製SGの同じ部分で予想外の破損が発見されたため、SCE社は両炉を停止状態とし再稼働への道筋を模索している。

しかし、この件について地元カリフォルニア州選出の上院議員を含む議員2名が「SCE社と三菱重工は取替用SGの設計に問題があることを設置前に知っていながら、安全性の改善や認可の修正、追加の安全審査を避けるためにそのまま設置した」と主張。MHI報告の情報に関する調査を米原子力規制委員会(NRC)に強く求める書簡を2月6日に提出した。地元住民に対する同月12日の説明会でも、市民の間で再稼働への賛否両論が飛び交うなど、問題の拡大化が懸念され始めた。

今回の報告書はNRCの2月14日付けの要請を受けて、MHI社が同月25日に提出したもの。U字管フリー・スパン部における不安定な流動弾性による細管同士の接触、および支持格子部付近での不規則震動などを摩耗メカニズムとして挙げている。

SCE社でもすでに、独自の原因調査によってMHI社報告と同一の原因を特定。同社はまた、NRCの拡大検査官チームが昨年7月にまとめた報告書で、「MHI社が設計作業で使用した不完全なコンピューター・モデリングが取替用SGの蒸気乾燥度予測とボイド率の計測を不適切なものにした」と判断していた点に言及した。

しかしSCE社によると、MHI社は設計段階で自らのレビュー・分析に基づき、発生し得る最大ボイド率は許容範囲内だと説明。追加の設計変更や計測は不要だとしてその性能を確約するなど、設計の有効性を繰り返し保証したとしている。

SCE社のP.ディートリック上級副社長は、「当社がMHI社の設計レビューに対して行った監査も産業界の基準と良好慣行を遵守していた」と明言。一般公衆の安全と信頼を損なうと分かっていてSGを設置するようなことは決してないと強調した。

実際、MHI社は根本原因報告書の中で、設計段階の状態分析におけるSGの熱水力学的状態は許容可能であり、特にボイド率を低減する必要はないと結論付けていたとSCE社は指摘。ボイド率対策のための設計変更が提案されれば、同社がそれを拒否することは絶対にないと主張しており、MHI社が見積もったボイド率や流速が細管の故障につながり得るとは知らされなかったこと、その時点で設計は健全なものに思えたと明言している。


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