施行後5年間の猶予も 規制委 新制度の審査方針示す

原子力規制委員会は19日、7月から施行する原子力発電所の新安全規制に伴う審査方針について審議した。原則、7月の施行段階で、必要な機能をすべて備えていることを要求するが、シビアアクシデントやテロ対策のためのバックアップ対策となる「特定安全施設」については、施行後5年間の猶予期間を設ける方向となった。

原子力発電所の新安全基準は現在、骨子案が2月に取りまとめられた後、続く規則条文案作成に向けた検討が進められているところ、同日の委員会会合で、田中俊一委員長は、「基準の中身は大体できた」として、新規制施行に向けた基本的方針を示した。新規制の考え方として、「施行と同時に混乱なく運用できるものでなければならない」としているが、新たに導入されるバックフィットについては、今後の安全確保に大きく関わり、施行時の一時ではなく繰り返し実施されることから、「明瞭かつ普遍的なシステム」となることを求めている。また、新規制導入の各節目時点以降で、基準を満たしていないものは、運転再開の前提条件を満たさないものと判断するが、基準適合を求めるまでに一定の期間を置くことを基本とすることとしている。

今回の規制導入に当たっては、施行までの期間が短期間となることから、シビアアクシデント対策などの信頼性向上の施設については、施行から5年までの実現を求めることとしている。また、稼働中のプラントについては、定期検査終了時点で、事業者が運転を再開しようとするまでに基準を満たしているかを判断する。

また、19日の会合では、原子力規制庁が、新規制施行後の審査手順案を示した。それによると、ハード・ソフトを一体的に確認することが合理的との考えから、これまで段階的に行ってきた設置変更、工事計画、保安規定の認可に関し、申請を同時期に受け付け、並行して審査を実施することとしており、これまで原子力安全・保安院下で実施してきたストレステストは、手続き上の要件としないことなどをあげている。


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