電力 火災防護策は十分 新安全基準検討チームに説明 火災影響評価手法も確立

原子力規制委員会の「発電用軽水型原子炉の新安全基準検討チーム」(担当原子力規制委員=更田豊志委員)は25日、電力会社から火災防護、内部溢水、竜巻に対する取り組みや、規制委が提起している火災防護規定(案)などに対する意見を聞いた(=写真下)。

電力からは、主に関西電力の森中郁雄・原子力事業本部副事業本部長が説明し、火災防護規定(案)について、規定にある「『同等又はそれを上回る安全性を確保しうる場合は、これを排除するものではない』という精神を生かし、これまで得られた技術知見を活用していくことが、既設炉の安全性の向上につながると考える」とした。

また、1975年の米国ブラウンズフェリー1号機の火災以降、火災に関する各種の燃焼試験でデータを蓄積し、火災影響評価手法は確立していると強調した。内部火災対策設計審査ガイドに示されている火災の影響軽減対策としての「分離措置」について、耐火壁や十分な隔離距離、難燃ケーブルの採用などによって、求められる火災防護上の措置と同等の効果を達成できるともしている。

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原子力規制庁は25日の新安全基準検討チーム会合で、新安全基準についてのパブリックコメントに対する2回目の取りまとめ資料を提示し、主な意見とそれに対する規制庁の考え方を示した。

設計基準事故の発生確率に関して、「まれ」と「極めてまれ」との表現があるが、客観性に欠けるのではないかとの指摘に対し、「設計基準事故はプラントの寿命中にまれではあるが発生し得るもの」と考え、プラント寿命中に1回の頻度が年10マイナス1乗〜10マイナス2乗であることから、「年10マイナス3乗〜10マイナス4乗程度の発生頻度を念頭においている」と説明し、シビアアクシデントはそれよりさらに発生頻度の低いものとしている。

今年、ロシアで発生した隕石落下を考慮すべきではとの問いに対しては、「隕石の落下は、原子力発電所という特定の場所への衝突確率が低い」として、評価対象には含めないものの、調査検討は進めるとしている。

また、シビアアクシデント(SA)対策の中で、用語の定義として、SAは設計基準事故を超えるものとしているが、設計・設備対応するのであれば、安全設計思想として設計基準事故と捉えるべきではないか、との質問に対して、規制庁では、「設計基準事故の定義を変えないことから、このような書きぶりにしている」と説明。これに対して、更田委員は、「新安全基準を設計基準とシビアアクシデント対策に分けて、分かりやすく整理したつもりだが、SAは確かに設計・設備対応するものであり、工夫が必要かもしれない」などと述べた。


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