ニュースケール社も申請 米国のSMR開発支援計画

米オレゴン州を本拠地とするニュースケール社は3月27日、米エネルギー省(DOE)が同月11日付けで発表していた小型モジュール炉(SMR)開発・商業化促進プログラムの2度目の募集要項(FOA)に対して、基本合意書(LOI)を提出した。

昨年3月に公表された最初のFOAでは、同年11月にDOEがバブコック&ウィルコックス社の「mPower」設計を商業化支援対象設計の1つに選定。落選したニュースケール社は残りの対象枠に、ウェスチングハウス社やホルテック社とともに再びトライする考えで、締め切り日の7月1日までに詳細な申請書を提出するとしている。

オバマ大統領は今年2月の一般教書演説の中で一層持続可能なエネルギー源への移行を加速すると約束。SMRの開発支援計画はその一部となるもので、DOEのチュー長官(当時)もSMRを含めた革新的エネルギー技術は、世界のクリーン・エネルギー競争において米国に重要な競争力をもたらしつつ、国内の一般家庭やビジネス環境にも低炭素なエネルギーを提供する助けになると指摘した。政府が資金提供する公募プログラムで革新的なSMRを上市することにより、米国内に新たな雇用と事業を創出する狙いがある。

同計画では有望なSMR設計2件が2025年頃までに営業運転の開始を可能とするため、5年計画でエンジニアリング、設計認証および許認可を政府がコスト支援。少なくとも経費の50%は産業界負担だが、昨年の発表で議会が割当てた連邦予算は合計で4億4200万ドルとなっている。

ニュースケール社はSMRの開発・商業化を唯一の目的に設立された企業で、軽水炉で実証済みの技術を元に、自然循環による炉心冷却などで独自の技術を開発中。同社のSMRは水中や地下にも設置できる小型一体型炉で、モジュールの100%を別工場で製造し、鉄道やトラックでサイトまで輸送することが可能だ。また、1基あたりの出力は4.5万kWで、最大12基組み込むことにより、54万kWまで出力を拡大できる。

2011年10月に大手EPC契約企業のフルアー社が3000万ドル以上の投資を約束したほか、昨年3月にはDOEのサバンナリバー国立研究所(SRS)がサウスカロライナ州のSRSにおける開発と建設を支援することで同社と協力合意文書を締結済みである。


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