最高裁判決で運転可能に スイスのミューレベルク原発

スイスの連邦最高裁判所は3月28日、ミューレベルク原子力発電所(KKM、BWR、39万kW)(=写真)の運転期限を今年6月末までとした連邦行政裁判所(FAC)の昨年3月の判決を破棄した。同炉の安全性を認め、同国のその他の稼働中原子炉と同様、期限を切らずに運転可能との裁定を下したもの。

1972年に運開したKKMに対して、連邦政府の環境運輸エネルギー通信省(DETEC)は2009年、国の安全要件を満たしている限り無期限に運転期間を延長できるとの判断を下したが、福島事故後の11年5月、連邦政府は、国内の原子炉五基の平均稼働年数を50年と設定した上で、これらすべてを34年までに段階的に閉鎖する政策を公表。KKMは運開後50年目に当たる22年まで運転できると見られていた。

しかし、KKMの炉心シュラウドにヒビがあると主張する反対派住民の提訴を受け、FACはDETECが政治的判断により課した50年の稼働許容年数を排除。KKMの操業を今年6月末までに制限したほか、事業者であるBKW社には運転継続のための新たな申請書を、長期運転に関する包括的保守管理概念とともにDETECに提出するよう指示した。

BKW社はこの裁定に控訴した上で、昨年8月に要求されたすべての文書を提出。スイス連邦原子力安全検査局(ENSI)は同年12月に、それらの文書を通じてKKMの長期運転の妥当性が裏付けられた根拠を承認したが、その一方、2017年以降の運転継続を見越した包括的な改修工事をBKW社に指示しており、その実施計画を6月末までに提出するよう命じていた。

今回の最高裁判決を受けて、BKW社は「これで改修工事の実施計画の作成に集中できる」と歓迎している。


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