地上タンクに移送へ 東京電力福島第一 汚染水対策を急ぐ

今月3日に確認された東京電力の福島第一原子力発電所の地下貯水槽から汚染水漏れについて10日、廣瀬直己社長が会見し、地下貯水槽の汚染水を地上タンクに移送する方針を明らかにした。地上タンクを増設して、移送は6月中にもほぼ終える予定という。

漏えいが確認されているのは7つある貯水槽のうち、1号から3号まで。最初に確認されたのは2号貯水槽で、5日までの分析で最外周シートの内側の水に5800ベクレル/立方cmの放射能濃度が確認されたため、漏えいの可能性ありと判断した。対策として既設移送ラインで2号貯水槽から隣接の1号貯水槽への汚染水の移送を6日から開始していた。

しかし1号貯水槽にも漏えいが発見されたため9日に移送を停止している。3号貯水槽については6日に最外周シート内側の水に1800ベクレル/立方cmの放射能濃度が検出され、漏えいが少量認められたため、水位測定やサンプリングによる監視を行っている。

相次ぐ漏えいに対応を急ぐ東京電力は7日に対策本部を設けて、本部長の廣瀬社長らが現地入りしていた。今後、1号貯水槽と2号貯水槽の汚染水を今週末にも移送を開始し来月の上旬までには完了したい考え。

一方、汚染水問題などへの監視を強めるため、原子力規制員会は10日の定例会合で、検査などを行う職員を現在の8名から増員する方針を決めた。福島第二原子力発電所などから人員をまわすことを考えている。7日には、この問題への対応を強化するため規制庁が東京電力に対し、(1)2号地下貯水槽汚染水の早急な移送と移送先の厳格な監視(2)3号地下貯水槽の厳格な監視と汚染水の移送準備(3)漏えい汚染水の環境への影響範囲の評価(4)漏えいの原因の究明と再発防止対策の検討(5)全地下貯水槽が使用できなくなった場合に備えた対応策の検討(6)汚染水の中長期にわたる管理・貯蔵計画の見直し――といった対応策を指示していた。

こうした指示も踏まえ、東京電力では汚染水の地上タンク移送を決めたもので、作業を急ぐことにしている。今後、原子力規制委員会は「特定原子力施設監視・評価検討会」等で、一連の東京電力の対応の確認を行っていく。


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