露が原子炉増設等で協力 南アの原子力拡大計画で

ロシアの原子力総合企業ロスアトム社は3月28日、V.プーチン大統領が南アフリカ共和国のJ.ズマ大統領と共同宣言を発表し、南アにおける原子炉新設のみならず同国の原子力産業全体の発展のためにロシアが支援するなど、エネルギー分野での協力や本格的な戦略パートナーシップの構築で両国が合意したと発表した。

両国にブラジル、インド、中国を加えた「BRICS5か国」の首脳会議が南アで開催されたのを機に、両国間で調印した様々な分野の協力合意の1つという位置付けで、エネルギー分野の協力の中では中心的役割を担うもの。南アは福島事故後を経てなお、エネルギー・ミックスの中に原子力を残した統合資源計画(IRP)を打ち出しており、同国で豊富なウラン資源の採鉱から原子力機器の国内設計・製造を通じた原子炉と研究炉の建設まで、先進的な原子力産業の構築を含めて、ロシアは技術的および財政的な支援をトータルに提供していく。

南アでは3月中旬に、K.モトランテ副大統領を始め、国家原子力規制局(NNR)、原子力公社、原子力産業協会らを交えた「原子力アフリカ2013年会議」を国内で開催。エネルギー相の基調演説によると、福島事故の発生当時、政府は国の電力施設計画にあたる長期IRPの2010年〜30年版の仕上げ作業中だったが、最終的に原子力は23年から30年までに6基・960万kW増設し、20年間で発電シェアを現在の5%から25%まで拡大することが盛り込まれた。

事故後はNNRが、国内で稼働するクバーグ原子力発電所(90万kW級PWR2基)とSAFARI−1研究炉(2万kWのプール中タンク型炉)の安全性確認を所有者に指示。これらはEUが主導したストレステストに沿って行われており、わずかな改善勧告を伴ったものの、概して良好との審査結果をNNRが公表したという。

政府はまた、モトランテ副大統領を座長とする国家原子力上級調整委員会を設置。原子力の新設に関する国の明確なアプローチを打ち出すことになった。エネルギー相によると、天候に左右される風力や太陽光への依存は同国では考えられず、温室効果ガスの排出量削減に最も効果的であるなどの点からも、原子力を国のエネルギー・ミックスに含める以外に選択の余地はないとしている。


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