原子力ゼロ?−世界がつきつける日本の責務 第46回原産年次大会が開幕 原産会長所信表明 「再稼働、早期に適切な判断を」 信頼の構築、復興めぐり議論

第46回原産年次大会が24日、東京で開幕した。福島第一原子力発電所の事故後、国内では脱原発の議論もなされるなか、世界の中で日本が原子力開発利用に果たすべき役割などを内外の識者の参加を得て議論する。初日、日本原子力産業協会の今井敬会長(=写真)は所信表明で、「基幹電源としての原子力の必要性は自明」とし、安全が確認された発電所の再稼働に「早期に適切な判断を求める」と述べた。

今井会長は、ほぼ全ての原子力発電所の長期稼働停止にともなう日本経済への影響に加え、安定供給、エネルギー安全保障の観点からも、安全が確認された原子力発電所の早期再稼働が必要だと訴えた。また日本は事故の経験と知見を世界と共有し、原子力安全向上に繋げる責務があり、原子力技術の海外展開は日本の成長戦略の一翼を担っていくと強調した。さらに、原子力規制委員会が検討を進める新規制基準案について、徹底的に透明性を維持し、事業者や海外の専門家などとの意見交換を十分に行った上で実効的な規制を目指すことが大切だとした。

福島の再生・復興については、国内外の叡智を結集して資源を優先的に投入する必要があるとし、福島に「国際研究開発センター」の設立を提唱するとともに、国民全体が放射線影響への理解を高めることの重要性を指摘した。最後に今井会長は、今回の年次大会での議論を通し、わが国の経済が少しでも回復することを期待するとした。

続いて原一郎・経済産業省資源エネルギー庁長官が挨拶し、福島第一原子力発電所の廃炉の着実な推進、原子力分野における国際協力、原子力発電所の継続的な安全性向上、世界最高水準の安全性の確保に向けた取組について述べた。

このあと、特別講演、続いて25日にかけて3つのセッションが行われ、エネルギーミックスのあるべき姿や信頼の構築、復興の道筋をテーマに議論が深められる。


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