「プル利用懸念に対応を」 原子力委 核不拡散で意見聴く

原子力委員会は2日、国際関係に関する有識者との意見交換を行った。

吉田文彦・朝日新聞論説副主幹は、査察機関として発足した国際原子力機関(IAEA)が兵器用も含めてウランと核分裂物質を貯蔵し保護するというアイゼンハワーの国際管理構想について、実際にはIAEAの査察も受けないままの原子力関連輸出が続出しており、不発に終わっているとの現状を示した。また、NPT(核不拡散条約)が国際管理構想から離れ「一国主義」を容認したことに内在する不拡散レジームとしての内在的限界についても指摘した。

福島事故を経験した日本が国際展開するにあたっては、一部の国が濃縮ウラン施設や燃料サイクル関連施設の輸出元になる可能性や、日米の原子力に関する同盟を核廃棄物処分などのグローバルな核物質管理戦略に取り組む同盟へとシフトするなど核軍縮・不拡散レジームの再建が重要だと語った。

ウェブサイト「核情報」を主宰する田窪雅文氏は、現実性のない日本のプルトニウム利用について国際的な懸念が高まっているとし、「余剰プルトニウムを持たない」政策を打ち出した原子力委員会はこの問題について新しい考えを打ち出すべきだとした。


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