インドのクダンクラム原発 最高裁、起動認める判決

インドの最高裁判所は6日、南東部タミルナド州で反対派住民による抗議行動のため燃料装荷直前で建設作業が停止しているクダンクラム原子力発電所(KKNP)について、「国家政策に基づいて開発されたものであり、その利用はインド国民の福利に資する」と評価する一方、住民の懸念は感情的で現実的な意味はないとしてその訴えを退けた。これを受けて、同原発では1号機の起動に向けた作業が行われる模様だが、最高裁は操業に際して関係者らがクリアすべき15項目の条件を提示。住民の不安を払拭できるよう同原発の安全確保徹底を促す考えだ。

この裁定は裁判官2名が反対派住民の訴状、およびKKNPを所有するインド原子力発電公社(NPCIL)、原子力規制委員会(AERB)の提出文を詳細に審査した末に下したもので、247ページの判決文はインドにおける原子力開発の歴史から国家政策としての位置付け、国内の稼働中原子炉の詳細など多岐にわたる内容。KKNPの安全性に関しては、15名の専門家グループがTMIやチェルノブイリおよび福島での事故に照らして実施した審査の結果を掲載した。

それによると、KKNPでは設計段階から地震や津波、ストーム等の影響が考慮されるなど、第3世代の安全性を備えた発電所。これを十分訓練された運転員が運転することにより、過去と同様の事故がKKNPで起こることは考えにくい。地元住民の放射線影響への恐怖に根拠はなく、KKNPの設計は現在の安全基準を満たしていると結論付けた。

こうした背景情報から判決文も、結論部分で「事業者はサイト内外の安全要件すべてを受け止め、AERBが国内外の安全手法に基づいて定めた実施規則に従っている」と断言。使用済み燃料の安全な貯蔵を含む放射性物質の保障措置や防護措置についても、原子力法の中心的部分であり、適切な方法が取られることになるとしている。

なお、起動前および操業中にNPCILや原子力省、環境森林省、AERBが対応しなくてはならない15項目として、判決文は(1)起動前に様々な機器システムの品質保証を徹底(2)少なくとも3か月に1回の施設検査(3)NPCILからAERBへの定期報告(4)発電所から使用済み燃料の移送を可能にする深地層処分場の早急な開発(5)国家自然災害管理指針を実行に移すための適切な措置――などを指示している。


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