乳がんの臨床試験を開始 放医研 重粒子線治療、適用広がる

放射線医学総合研究所(放医研)は20日、早期乳がん患者を対象に重粒子線治療の臨床試験を開始すると発表した。乳がんの原発巣を重粒子線治療で根治できれば、手術が行えない患者に対して、低侵襲局所治療の適応が広がり、新たな選択肢の可能性が期待できる。

対象となるのは、腫瘍の大きさが2cm以下でリンパ節転移や遠隔転移がない「T期」にある60歳以上の乳がん患者。1週間で4回の照射で治療を行い、経過を判定していく。乳がんでは、局所照射で根治可能である症例が特定できていなかったことなどから、乳房温存手術と全乳房照射を組み合わせた局所療法に必要に応じ全身薬物療法を組み合わせるのが一般的だった。近年の世界的な研究で、単発腫瘍で広範な乳管内進展がなくリンパ節や遠隔転移がない「低リスク群患者グループ」には再発予防効果が高いことがわかってきたため、手術や麻酔が使えない乳がん治療に適用することとなった。


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