仏国の廃棄物最終処分場建設計画 10月まで公開討論を実施

仏国で高レベル放射性廃棄物(HLW)の深地層最終処分場建設に関する公開討論が15日にスタートした。放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は夏季休暇期間の8月を除く10月15日まで、仏国東部ビュールの粘土層に約135億〜165億ユーロの予算をかけての「CIGEO」と呼称する処分場の設計、建設、操業、および閉鎖に関するプロジェクトについて、国民に広く周知すると共に意見を聴取。2015年の建設許可申請に続き、19年に着工、25年から操業開始することを目指している。

仏国では折しも、昨年発足したF.オランド政権の公約、「原子力の発電シェアを25年までに50%に削減する」等で意見聴取するため、エネルギー源の移行に関する国民的な議論が昨年から展開中。委員7名の運営により6月までに意見聴取を終え、10月には法案の公布を予定している。

廃棄物の深地層処分場建設問題に関しては、1998年に政府が約30件の関心表明の中からムーズ県とオートマルヌ県にまたがるビュール地域を「地下研究所」の建設地として選定した。05年にANDRAが地下研究所周辺の250平方kmの範囲内に安全な深地層処分場の建設が可能とする報告書を提出したことから、国家討論会委員会はHLWと長寿命中レベル廃棄物の深地層処分オプションに関する公開討論を実施。翌06年に同オプションは議会で承認され、ANDRAは09年、放射性廃棄物等管理計画法に基づき指定地区の中心部、約30平方kmの地下区域を深地層処分場の地下施設設置場所として政府に提案した。規制当局や政府の承認を経て、今回、これらの施設に関する公開討論を行うことになったもの。

CIGEOでは既存の原子力発電施設を始め、廃止措置や使用済み燃料の再処理から出るすべてのHLWと長寿命中レベル廃棄物を地下500mの深地層に少なくとも100年間、回収可能貯蔵する。必要に応じて拡張される地下施設に加え、廃棄物パッケージを受け入れるとともに地下構造物を掘削・建設する地上施設で構成される計画だ。

放射性廃棄物等管理計画法の定めるスケジュールによると、ANDRAは14年〜15年にCIGEOの建設許可申請準備を行い、15年に申請書を提出。18年までこれを国家評価委員会が審査するほか、仏原子力安全規制当局(ASN)による意見書および地元の見解書などとともに議会の科学技術選択評価委員会が評価することになる。

準備作業を含めた建設工事は議会での法案成立後、19年に開始。25年にASNの承認をもって操業を始め、30年以降は10年毎の定期安全審査に基づいて徐々に拡張していくことになる。


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