ベルギーの規制当局 ドール3、チアンジュ2の運転再開を承認

昨年夏、原子炉圧力容器でヒビの徴候が検出されたため停止中のベルギーの2基について、同国の連邦原子力規制局(FANC)は17日、「安全な再稼働のために要求した11要件は完全に満たされている」として運転再開を認める判断を下した。最終的な可否は政府が決定するが、2基を操業するエレクトラベル社はこれを受けて直ちに再起動に向けた準備作業を開始する考えだ。

昨年6月、ドール3号機とチアンジュ2号機(ともに100万kW級PWR)の超音波探傷検査で圧力容器母材に数千個の毛状ヒビの徴候を示す信号が検出されたことから、FANCは内外の専門家に原因究明調査を依頼した。その結果、原因として圧力容器鍛造時に材料中の元素組成に偏りが生じ、水素が集まって発生した「白点」を指摘するとともに、「両炉を永久閉鎖しなければならないような状態を示すものではない」との見解を表明した。

しかし、両炉の安全な稼働能力を保証するため、FANCは今年2月、(1)供用期間中の超音波探傷検査技術(2)ヒビの原因と伸長(3)材料特性の評価(4)圧力容器の構造上の健全性(5)負荷試験――の分野で再起動前の11要件と再起動後の5要件をエレクトラベル社に提示。同社は圧力容器の負荷試験など追加試験の実施を盛り込んだ行動計画を提出していた。

その後同社は、ベルギー原子力研究センター(SCK―CEN)や傘下の研究所、様々な分野の国際的な専門家チームによる徹底した試験・分析を両炉で実施し、結果を4月15日と26日にFANCに提出。昨年12月時点で報告した判明事項を補足するとともに、次のような結論を確認した。すなわち、(1)検出された徴候は水素白点(2)鍛造段階で生じたものだが安定している(3)圧力容器の構造上の健全性と荷重支持能力に影響はなくすべての安全基準を満たしている――である。

今後、エレクトラベル社による再起動準備は2〜3週間かけて、FANCの綿密な監視下で行われる予定。最初の燃料サイクル終了後に、昨年夏に実施したのと同様の検査を行うとしている。FANCも過渡変化時の追加対策・行動として、ヒビが伸長する可能性の検知で追加の供用期間中検査を要求。安全裕度増強のために起動時と停止時に上昇温度と冷却温度の差を小さくする、安全注水用タンクの水温を予め30度Cに上げておくなどの対策を指示している。


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