より透明性の向上を IAEA・評価ミッション報告書 福島第一の廃炉へ 政府との相互協力深め

IAEAが4月に実施した福島第一原子力発電所事故炉の廃止措置に関するレビューミッションの報告書が23日、経済産業省より公表された。調査の時期に問題となっていた電源喪失や地下貯水槽からの汚染水漏れに関連する事項も、直近の課題として含んでいる。計17項目の助言で、これらは、6月中を目途取りまとめる廃止措置の中長期ロードマップ改訂にも反映される。

レビュー報告書では、福島第一発電所廃炉戦略のエンドステート(最終形態)の議論を始めることをまず指摘しており、中長期ロードマップが事故後速やかに策定されたことは評価する一方で、特に、放射性廃棄物に関する適切なエンドポイントが定められない場合、公衆の健康と安全に悪影響をもたらすこととなるなどと述べている。また、地元自治体、メディア他、関係者とのコミュニケーションについて、事故・トラブルにおける問題点を踏まえた上で、より透明性を高めていくよう政府と東京電力とが相互に協力していくことを推奨し、さらに、廃炉作業の準備がタイムリーに進められるよう、関連する許認可に向け、規制当局への積極的なアプローチをとることも助言している。

福島第一サイト内でプラント安定化に関わる設備等には、発災直後に取り急ぎ設置されたものも多いことが指摘されているが、当面の個別課題として、報告書では、東京電力に対し、バックアップのないシステムを可能な限り排除し、恒久的な設備に更新するよう努めるべきとし、組織面でも、信頼度向上緊急対策本部の機能を、事故・トラブル対応と、安全上重要な設備の運用とに切り離すことを助言している。

また、汚染水問題では、滞留水処理に関する戦略を見直し、リスク低減を考慮しながら、包括的な計画を策定し、今後、処理水放出の可能性についても、全体的な評価に向け議論の準備に入るよう求めている。


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