放医研、放射線がん治療に革新 世界初、24時間で効果を確認 臨床への応用に期待高まる

放射線医学総合研究所(放医研)分子イメージング研究センター分子病態イメージング研究プログラムの青木伊知男チームリーダー、齋藤茂芳博士研究員(客員協力研究員/現大阪大学)らは24日、がん細胞への放射線照射後24時間で、その効果の有無を画像で確認できる手法を世界で初めて開発したと発表した。

この研究では、高い解像度を持つ高磁場の磁気共鳴画像法(MRI)と細胞や組織の機能を可視化する特殊な造影剤を用い、マウスの大腸がんモデルの腫瘍による造影剤の取り込み量の変化を照射後24時間後に画像化することに成功した。また細胞内への造影剤の取り込み量の低下が、細胞周期の停止を反映することも発見した。

この原理により、放射線がん治療後の超早期に、治療効果の有無や治療効果範囲が確認できるようになる。従来、放射線がん治療の効果を確認するには、数週間以上に及ぶ腫瘍体積の変化の観察が必要であり、放射線治療の効果がないとわかった時にはすでに手遅れの状態になりかねないため、早急な効果の確認が望まれている。今後、より効率的な送達法や安全性の検証により、臨床への応用も期待される。同研究は21日、米国「Cancer Research」誌のオンライン版に掲載された。


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