新研修棟で記念式典 放医研 研修ニーズ増加に対応

放射線医学総合研究所は20日、新研修棟のしゅん工記念式典を開催した(=写真)。新たな施設は、福島第一原子力発電所事故発生以降の放射線に関する研修ニーズの急増に対応すべく、建物延べ面積を従来研修棟の倍以上に拡張し、講義室、実習室の他、研修生用のロッカールームや交流スペースなども備え、よりきめ細やかな研修プランの提供を行う。重粒子線治療施設などと同じ千葉市の研究所敷地内に12年3月末、しゅん工した。

記念式典で、同研究所の米倉義晴理事長は、原子力事故発生以降の放射線に対する国民の関心高揚など、開設に至った背景に触れた上で、特に、指導的立場にある人たちに対し、「できるだけ実際に手を使って学ぶ」を提供し、「正しい知識」を共有して欲しいと述べ、新たな施設が有効に活用されることを期待した。

放医研では4月より、従来の人材育成室を「人材育成センター」に改組し、より放射線分野の研修事業に力を注ぐこととしているが、同センター長の酒井一夫氏は、新研修棟開設に際し、「蓄積してきた情報やノウハウを社会に還元」していきたいとしたほか、事故を踏まえた役割として、「不安を解きほぐすためのコミュニケーション」を構築していく意義を述べるなどした。

既に50年以上の実績がある放医研の人材育成事業では、これまで国内外1万人以上の研修生を受け入れており、社会の情勢を踏まえて幾多の変遷をたどり、現在も多くの課程・コースが用意されている。特に、福島原子力事故後は、放射線の健康影響や被ばく医療に関する研修を求める声も多く、関連する講習・セミナーの開催により、12年度の研修生はトータルで、事故以前の倍以上にも上っている。新たな研修棟では、放射線管理区域内に設けられた実習室・測定室も充実しているが、自治体関係者や教職員など、指導的立場にある人たちが基礎的知識・技能を習得できるよう、測定器具類のデモンストレーション、実験キットによる個別指導なども可能な一般実習室にも広いスペースをとっている。


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