米サンオノフレ原発閉鎖 再稼働見通したたず、維持費膨張 SCE社 重工に損害額の負担要請へ

米カリフォルニア州のサザン・カリフォルニア・エジソン(SCE)社は7日、蒸気発生器(SG)細管同士の接触破損で1年以上停止しているサンオノフレ原子力発電所2、3号機(各PWR、112.7万kW)を永久閉鎖すると発表した。

再稼働に向けた規制プロセスが長引くなか、両炉がいつ、そして実際に運転に戻れるかという見通しが不透明なままでは顧客や投資家に対して良い状況ではないと判断。両炉をフル稼働可能な状態で待機させておくための経済的負担も勘案した上で決めたと説明している。

米国では今年に入り、両炉のほかにキウォーニ、クリスタルリバー両原発が改修等にともなう経済問題により閉鎖された一方、第3世代プラスのAP1000設計を採用したV.C.サマー2号機とボーグル3号機では最初のコンクリート打設を実施。建設中の原子炉は、2008年に建設工事が再開されたワッツバー2号機を含めて3基となるなど、安全性を高めた新世代炉と経済性の低下した既存炉が入れ替わる動きが見られている。

サンオノフレ2、3号機はそれぞれ、1983年と84年に営業運転を開始。昨年1月の末に3号機のSG細管から放射能漏れの可能性が検知されたため、SCE社は予防措置として同炉を停止した。この時2号機は燃料交換等のために停止中だったが、その後の点検で、三菱重工が2009年から10年にかけて両炉に2機ずつ納入したSGの同じ部分で予想外の破損が確認されていた。

昨年10月になりSCE社は、SGの設計・製造で専門的知見を有する独立の立場のエンジニアリング会社3社の分析結果に基づき、「2号機は出力を70%に落として連続運転を5か月間に制限すれば安全に運転できる」と米原子力規制委員会(NRC)に提案。NRCはその後、公聴会の開催など同提案の審査作業に8か月を費やしてきたが、諮問機関である原子力安全許認可会議(ASLD)が再稼働の最終判断についてさらなる不確定要素を提起したことから、2号機の再稼働はもう1年、遅れる見通しとなった。

この間、SCE社は同発電所を再稼働可能な状態で維持するコストや、同発電所を代替する発電コストを継続して負担。このまま再稼働に向けた改修費を長期的に負担していくより、代替電源の開発計画に努力を傾注する方が同社と顧客にとって得策との判断に達したとしている。

SCE社によると2、3号機の閉鎖にともなう第2四半期の税引き前負債は4億5000万ドル〜6億5000万ドルという記録的な額に到達。同社は適用される保険金を回収する一方、SGを納入した三菱重工には損害額の負担を求めていく考えだ。


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