原子力「チャレンジの価値あり」 21世紀研・澤氏 大学生にエネ政策で講演

澤昭裕・21世紀政策研究所主幹/国際環境経済研究所所長による「いま何を議論すべきなのか?―エネルギー政策と温暖化政策の再検討」と題する講演会が12日、東京都市大学で行われた(=写真)。

原子力の捉え方が世代によってかなり違うことをふまえ、主に学生向けに、これまでの日本の発電電力量の推移などを解説した上で、将来のエネルギー政策を考えるに際して、安定供給、経済性、環境性などの問題を提起し、意見交換を行った。

澤氏は、原子力を維持していくには、(1)日本の国力・国益・地域振興にとって原子力が「特別に必要」との共通認識を持ち官民一体で推進していくという明確な政治の意志、(2)長期安定的資金を確保しリスク費用を官民で分担するなど確実なファイナンス、(3)イノベーションを現場で継続的かつ積極的に導入する技術の新陳代謝の仕組み――が必要だとした。

また、事業者には原子力の信頼回復に向け、(1)組織力や人材力などハードウェアにとどまらない安全確保(2)コミュニティ・技術の巨大さを自己認識したうえで発揮される自浄能力と自制心(3)国の安全基準は最低基準と認識し、事業者間で安全技術を新陳代謝していく工夫――を求めた。

質問を投げかける学生たちに対し、澤氏は、「原子力はチャレンジする価値のある分野」などと激励した。


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