ビサギナス計画の継続促す リトアニア大統領、議会に警告

リトアニアのD.グリバウスカイテ大統領(=写真中央)は11日、議会に対する年次演説の中で膠着状態にあるビサギナス原子力発電所建設計画に触れ、「政府が煮え切らぬ態度で結論を遅らせればリトアニアは国際社会からの信頼を失う」と警告した。

昨年10月に発足した社会民主党政権が前政権による同建設計画の経済性を疑問視し、出資を伴う戦略的投資家に選定された日立やエストニア、ラトビアからの出資金増額と言った条件が確約されない限り計画を継続しないとの方針を5月に表明したことに対するもの。

無所属の同大統領は、昨年10月の国民投票で投票者の6割がビサギナス計画に反対票を投じた後も一貫して同計画の継続を支持している。国内唯一の原発を09年末に閉鎖して以降、消費電力の大部分をロシアからの輸入に依存するという背景から、「エネルギーの輸入依存から脱却しなければ国の経済は脆弱なままだ」と指摘。エネルギーは経済的、社会的、政治的な独立さえ損なうために使われる最も危険な地政学的手段なのだと説いた。

また、ビサギナス原発の電力を周辺諸国に輸出するのに不可欠な北欧電力市場(ノルド・プール)への加盟が昨年6月に果たされた一方、スウェーデンとの送電網連結は15年まで待たねばならないなど、エネルギー自給の達成が道半ばである点を強調。「政治家が経費や価格の計算に固執すればエネルギー・セキュリティの大道からはずれ、一時的な利益のみという悲惨な道に国が追い込まれる」と批判。エネルギー部門の不確定要素が大きければ、諸外国による大口のエネルギー投資もリトアニアを避けて通ることになると忠告した。


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