リニアコライダー始動へ 3カ国で国際式典 45兆円の経済効果

全長30km超の長大な加速器を建設する次世代素粒子物理研究プロジェクト「国際リニアコライダー」の技術設計報告書が12日に完成し、同日、日本、スイス、米国の3か国をリレーする記念式典が行われた。この国際式典は、日本会場となった東京大学本郷キャンパスから始まり、スイス・ジュネーブを経て、最終会場となった米国・シカゴで、設計報告書が、国際将来加速器委員会に提出された。各地域では、シンポジウム、レセプションなどが開催され、参加した研究者らが、加速器建設に向けての前進を祝った。

「国際リニアコライダー」は、30kmを超す長大な直線状加速器を作り、現在、達成しうる最高エネルギーで、電子と陽電子の衝突実験を行い、宇宙創成の解明など、最先端の研究を実施するプロジェクトで、日本も高エネルギー加速器研究機構を中心として、研究開発に取り組んできており、国内への誘致の動きも活発化している。

日本会場での式典後の記者会見(=写真)で、世界の活動を率いる「リニアコライダー・コラボレーション」のディレクターのリン・エバンス氏は、報告書の出来ばえを評価するとともに、欧州原子核研究機関の大型ハドロンプロジェクトを率いた経験から、立地地域の経済効果への期待、また、「われわれのミッションは研究だけではない」として、プロジェクトを通じ、若い人たちに科学への関心を啓発することにも期待をかけた。

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日本生産性本部は11日、「国際リニアコライダー」を日本に建設した場合、産業界に起きるイノベーション効果は、建設と運用の計30年間で、約45兆円にも上るとの試算結果を発表した。研究成果で派生する1次効果は12兆1300億円、加速器から生成されるビームを利用・応用する産業での経済効果となる2次効果は32兆6000億円となっている。今回の試算では、経済波及効果として、誘発雇用者数も算出している。


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