ホンダ・産総研が共同開発 アシモの技術使い 福島第一 高所作業用ロボット

ホンダと産業技術総合研究所(以下、産総研)は17日、東京電力福島第一原子力発電所向けに、遠隔操作で原子炉建屋内1階高所の狭い箇所等の構造把握と現場調査を行う「高所調査用ロボット」(=写真)を共同で開発し、18日から建屋内で稼働を始めると発表した。

東京電力から提供された現場の情報をもとに開発を進めてきたもので、上部に設置した調査用アームロボット部分をホンダが、クローラー式高所作業台車を産総研が担当した。調査用アームロボットは、ヒューマノイドロボット「ASIMO」開発で培った技術を応用している。

たとえば3次元のポイントクラウド(点群座標)により、調査対象の周囲の構造物を立体的に表示する技術や多関節を同時に制御するシステム、アームが周囲の構造物に接触した際にその衝撃を吸収する制御技術などを応用している。

これらの技術により、調査用アームロボットは、原子炉建屋内の構造物が入り組んだ状況でも、多数の関節を同時に制御することで、隠れていて見えない対象物も容易に捕捉し、アームの先端に設置したズームカメラやレーザーレンジファインダー、線量計を使い、詳細な画像や3次元形状データの確認、線源の特定などを可能に。

クローラー式高所作業台車は、産総研が培ってきた遠隔操作技術をもとに、低重心構造とし転倒安定性を高めた高所作業車にカメラ、ライト、レーザーマーカーなどの配置を工夫して取り付け、400mの光ファイバーを用いた有線LANおよび無線LANを介して遠隔操作できるようにした。

さらに、ホンダと産総研は、直感的に分かりやすい遠隔操作インターフェイスを共同で開発した。これで、免震重要棟などから高所調査用ロボットを遠隔操作して、原子炉建屋内の暗くて狭い箇所を移動させることができ、また調査箇所にてアームロボットのマストを伸ばして、アームの先端が構造物にぶつかることなく、7mの高所に到達させ調査することを可能とした。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで