ユッカ計画に審査費計上 米議会下院の来年度予算法案

米議会下院の歳出委員会は6月26日、今年10月から始まる2014会計年度のエネルギー・水資源開発歳出法案を承認した。

合計304億ドルのうち6億5600万ドルが原子力関係プログラム予算で、現行の13会計年度から13.5%減。金額にして1億260万ドル削減されたほか、米エネルギー省(DOE)の申請額からも11%削減されたことになる。上院でも25日に、歳出小委が7億3600万ドルの原子力予算を盛り込んだエネルギー・水資源開発歳出法案を承認。いずれ両法案の調整が行われる。

下院の原子力関係予算のうち3億8730万ドルが「研究開発費」に充てられているが、こちらも対前年度比で13%の低下。ただし、政府要求額との比較では4%増加した。この中で最も額が大きいのは出力30万kW以下の「小型モジュール炉(SMR)の許認可支援費」で、前年度予算から66%増、政府要求額からも57%増の1億千万ドルとなっている。

廃棄物対策費を盛り込んだ「燃料サイクル研究開発費」は9100万ドルで、こちらは対前年度比50%減という大幅な減額となった。オバマ政権が打ち切りを決めたネバダ州ユッカマウンテンでの使用済み燃料処分場計画については、DOEが予算要求しなかったにも拘わらず、米原子力規制委員会(NRC)による認可審査を完了させるための経費として2500万ドルを計上した。

片や、同処分場計画に代わる放射性廃棄物管理処分方策を審議したブルーリボン特別委員会の勧告を実行に移すための予算を付けていない。歳出委・小委員会は公表資料の中で、「オバマ大統領が同処分場計画を打ち切ったのは政治的理由からであり、議会や米国民の意志に反するユッカマウンテン政策を進めた」と非難。同計画存続のための予算計上はこの政策を押し戻す議会努力の一環だと説明している。

このほか、米ガス拡散ウラン濃縮工場の解体浄化基金としてDOEが提案していた電力会社に対する年間2億ドルの特別税は再制定されず、原子力エネルギー協会(NEI)は歓迎の意を表明した。一方で、兵器級余剰プルトニウム処分戦略の一環でDOEがサウスカロライナ州サバンナリバーで建設しているMOX燃料加工工場の経費は対前年度比36%減の3億2000万ドルとなった。

すでに6割方完成した施設だが、DOEによる4月の予算要求時点ですでに1億8300万ドル削減されていたことから、一部の専門家は完成までに77億ドルと言われる同施設の予算を政府は今後も大幅に縮小していき、いずれ建設計画を廃棄する考えだと分析。NEIも、「米国の核不拡散戦略における重要要素であるだけに、こうした変化を注意深く考慮していきたい」との見解を示している。


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