独で処分場手続き法案可決 高レベル最終処分場の選定が前進

ドイツの議会上院は5日、使用済み燃料と高レベル放射性廃棄物(HLW)の最終処分場サイト選定に関する手続き法案を賛成多数で可決した。6月28日付けで下院も承認済みであることから、同法案は予定通り、夏の休会を目前に成立。ゴアレーベン岩塩坑を候補地とするこれまでの作業を一旦白紙とし、連邦および州の両政府や各界の代表による委員会が2015年までに安全要件やサイト選定基準に関する提案を作成するほか、遅くとも31年末までに合意ベースで候補地を議会に勧告するなど、明確な目標の達成に向けて大きく動き出した。

この法案は今年4月に連邦環境相と州政府、各政党の代表らが合意した法案骨子に基づいて議会に提出された。地元での反対運動激化を含め、その適性を巡って長年議論が繰り広げられたゴアレーベンの反省から、選定作業のすべての段階で国民が参加するなど、透明性と対話に基づいて進めるのが同法案の原則となっている。ただし、特定の場所を除外することなく、技術的に立証可能な適性に基づいたサイト選定を行うとの方針に従い、ゴアレーベンも新たな選定プロセスにおける候補地の1つとして残留した。

また、議会審議の中で何点か修正が行われ、選定基準を策定する委員会のメンバー数を当初予定の24名から33名に増員。同委が作成する報告書に対し、政治家委員が投票する権利はなく、意見書の添付のみ許されることになった。

ドイツ原子力産業会議(DAtF)は、廃棄物処分問題に関する30年もの政治的議論の後、超党派の合意により解決に向けた道筋が見えたこと、産業界が16億ユーロ以上を投資してきたゴアレーベンが候補地に残ったことを歓迎するとコメント。しかし、代替サイトの選定や処分場建設に要する経費が事業者の負担とされた点については「法的根拠はない」として、これに反対する見解を示している。


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