環境影響評価書を提出 トルコのアックユ原発計画

ロシアの協力と主導によりトルコ初の原子力発電所建設計画を進めているアックユ原子力発電会社は9日、同プロジェクトの環境影響評価報告書(EIA)をトルコの環境都市計画省に提出した。地中海沿岸のメルシン地区(=写真)で2020年の初号機を皮切りに、最新式の120万kW級ロシア型PWR(VVER)の「AES−2006」4基を1年毎に順次完成させていくため、発電所の建設・所有・運営を担うロシア企業が様々な準備作業を実施。2014年5月頃を目処に建設許可をトルコの規制当局に申請する計画だと伝えられている。

アックユ社は同プロジェクトの事業会社で、ロシアの原子力発電公社であるロスエネルゴアトム社が92.85%、電力輸出入企業のインター・ラオ社と原発建設輸出企業のアトムストロイエクスポルト(ASE)社が3.47%ずつ保有。トルコとロシアの両政府が2010年に結んだ協力協定に従い、ロシア側が11年12月にトルコで商業登記した。アックユ発電所はこのように、選定された事業者が対象施設を設計建設・所有・操業するという「BOO」の契約形態で建設される世界初の原発となるが、協定によりアックユ社株の49%までを外国投資家に売却することも可能だ。

全3000ページというEIA報告書は、プロジェクトの概要やその目的、サイト選定の根拠、社会経済的規模、物理的および生物学的な環境など12部門の包括的な情報を網羅している。今後は様々な政府機関や団体、大学等の代表で構成される特別委員会が同報告書を審査し、その結果について環境都市計画省が世論を考慮しつつさらに審査。最終判断をアックユ社に伝えることになる。

建設サイトでは昨年2月から11月にかけて、ロシアのエンジニアリング企業であるアトムエネルゴプロエクト(AEP)社が地形学的図面の作成や測量、土壌と地下水試料の調査など、主要な現地調査を実施。地質学的および水理気象学的研究を含むエンジニアリング調査も実施しており、収集したデータは設計プロセスや建設許可申請等のための資料としてまとめられる。

今年1月末には、同プロジェクトへの参加を希望するトルコ企業グループの代表約300名を集めた説明会が開催され、アックユ社はコンクリートや鋼材、配管などの所要量を提示。最初のコンクリート打設に先立つ建設工事前の掘削作業についても入札継続中であることを明らかにした。また、アックユ社は翌2月に同計画における最初の契約を締結。ピット掘削時に排出される岩石の処理と整地作業をトルコ企業に発注している。


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