信頼回復に向け対話を シニアネットワーク連絡会 再稼働は日本に必要

日本原子力学会シニアネットワーク連絡会(SNW)による「原子力は信頼を回復できるか?」をテーマとしたシンポジウムが3日、東京工業大で行われた(=写真)。

基調講演では、葛西敬之・JR東海会長が、「日本のエネルギー政策――原子力の役割」として、繰り返される事故で信頼を失い赤字を積み重ねてきた自身の国鉄勤務時代と原子力の現状を比較しながら語った。

人件費が大半を占めていた国鉄の財政とは違い、電力料金は燃料費が大半を占めていることを考えると、ほとんどの原子力発電所が止まっている今、電力業界は体力を消耗しながら供給を続けていると指摘。まず電力料金の値上げは必須だとした。もしも脱原発を選んでも電気料金値上げが起こらないとしたら、日本がどういう状態になるか国民には伝わらないとした。

また、安倍政権の経済政策には安定して燃料コストの安い原子力発電の使用が欠かせないことから、再稼働に向けて(1)原子力は安全に管理できるということ(2)ある程度の放射能なら危険ではないこと(3)日本の産業は安い電力なしには成り立たないこと――を国民にきちんと説明していくことが重要だとした。

目的の達成には「合理的で正当性があることを、全てを投げ打ってでも断固としてやっていくリーダー」が必要なことを強調。自民党がこの数か月のうちにも前政権の棚卸しをして問題提起し、現状を変えていかなくてはならないと警鐘を鳴らした。

続いて、小出重幸・日本科学ジャーナリスト会議会長/元読売新聞編集委員を座長に迎え、姉川尚史・東京電力常務執行役員、岡本孝司・東京大学大学院工学系研究科教授、中村多美子・弁護士、西澤真理子・リテラジャパン代表取締役、金氏顯・エネルギー問題に発言する会代表幹事/元三菱重工業常務が、パネル討論を行った。

メディアからの情報が断片的で流れが伝わってこないことが原子力の信頼が失われている一因であるとし、顔が見える対話や互いの専門領域を超えてのコミュニケーションが必要だとの意見が聞かれた。


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