米政府、輸出規則改定へ 厳格化で核拡散リスク低減

米エネルギー省(DOE)は1日、非機密扱いの原子力技術および関連支援の輸出管理規制に関わる連邦規則10CFRパート810を改定するため、「規則制定提案の補足告知(SNOPR)」をウェブサイト上に公開した。

輸出に際し、これまで一般的な審査だけで輸出できた相手国・124か国のうち80か国を政府の特別承認が必要なカテゴリーに再分類する提案で、審査の厳しくなる国数が倍加することから米原子力エネルギー協会(NEI)はこれに対する見解公表を取り敢えず差し控えた模様。DOEはSNOPRを10月末まで90日間のパブコメに付すため、2日付けの連邦官報にも掲載した。

DOEがパート810の改定を目的とした「規則制定提案の告知(NOPR)」で一般から意見募集したのは2011年9月。今回のSNOPRは集まったコメントに対する返答という位置づけで、規則の変更に伴う経済的影響に関してDOEが実施した分析評価の結果が盛り込まれている。

現在、米国の原子力技術の輸出相手国・地域は、パート810の下で一般的な承認(GA)により輸出が可能な124か国と、DOEによる個別審査など一層厳しい手続きが課される76の特別承認(SA)国に分類されている。

DOEの提案では、GAの中から80か国をSAに再分類する一方、現在SAに入っているウクライナ、アラブ首長国連邦(UAE)およびカザフスタンの3か国をGAに変更。その主な狙いは、実質的な民生用原子力開発利用プログラムを持たない、あるいは大規模輸出のメリットがない一方で、技術移転およびその結果として核拡散のリスクが考えられる相手国への輸出要件を一層厳しくすることだとしている。

DOEは独自の貿易データベースを元に、過去数年間の輸出金額は年間20億〜30億ドルと計算。分類変更による経済的な影響は貿易の取引量、およびGAの立場が輸出競争のさらなる激化につながる度合いに左右されるとしており、SAからGAに再分類される国との貿易取引により、そうしたマイナス影響が相殺されることは明らかだと強調している。


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