【原子力ワンポイント】 日本の放射線・放射能基準−−福島第一原発事故〈番外編26〉 地球内部では原子核崩壊が起こっている

原子力発電所を起源とする「ニュートリノ」の挙動を主に調べていた検出器「カムランド(KamLAND)」は、発電所の停止によりこれまで隠れていた地球内部を起源とするニュートリノをはっきり捉え、世界で初めて「地熱の約半分が地球の内部にある放射性物質の原子核崩壊に由来」することを確かめることができました。

ゲンくん 東京電力福島第一原子力発電所の事故があってから、クリーンな自然エネルギーの関心が高くなったけど、そのひとつに地熱を利用した発電があるんだって。地熱について教えて。

カワさん 地熱は地球が生まれてから地球の内部に溜まっているエネルギーで、例えば、火山や温泉などとして目に見える形で放出されています。

ゲンくん 地球の中では、福島第一原子力発電所で続いている原子核崩壊(放射線を出して他の種類の原子核に変化すること。以降は核崩壊と略す)と同じことが起こっているって聞いたけど本当なの。

カワさん そのとおりです。19世紀後半にイギリスのウィリアム・トムソンが熱伝導による年代測定を行い、地球が火の玉状態から出発したと考えて、現在の温度状態になるまでの期間は、数千年以内と予測しました。しかし、この年齢推定に対して、地質学者が地層の堆積速度から判断すると、もっと地球の年齢は古くなると反論しました。実際、地球の年齢は約45・5億年と言われています。

ゲンくん どうして、トムソンは計算を間違えたの。

カワさん トムソンが予測した年齢と、現在考えられている年齢の違いは、地球誕生の火の玉状態の熱量のほかに、核崩壊の発熱を考えなかったことにあります。19世紀の終わりにレントゲンがX線を発見したことをきっかけにして、核崩壊による発熱のことが知られるようになったので、トムソンが核崩壊の発熱を考えられなかったのは当然でした。現在地球内部の熱源と考えられているのは、ウラン(U238、U235)、トリウム(Th232)、カリウム(K40)などの放射性物質で、ほとんどマントルと地殻で核崩壊が起きています。

ゲンくん そうすると、地球の熱源は、地球が生まれたときの火の玉とその後起こっている核崩壊が合わさったものなんだね。

カワさん そうです。地球の放射性物質は、崩壊する時、放射線と一緒にニュートリノを出します。この地球内部からやってきたニュートリノを捕らえるべく設計された特別な検出器がカムランドなのです。カムランドを使って研究者たちは、2002年3月から2012年11月までのあいだに116個の地球ニュートリノかもしれないものを検出したといいます。東北大学ニュートリノ科学研究センターは2013年7月、地表での熱流量44・2兆ワットの約半分にあたる約21兆ワットが核崩壊による熱であることを予測・報道発表しました。その後、福島第一原子力発電所事故により全ての原子力発電所が停止したことにより、原子炉を起源とするニュートリノの影響が消えたことから、地球内部で作られるニュートリノのわずかな信号をよりはっきり見ることができたそうです。温泉の熱源の半分は自然放射線によってつくられ、地中の蒸気を使用する地熱発電は、原子力のエネルギーで動いているみたいなものですね、と言う人もいるようです。

原産協会・人材育成部


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