米控訴裁がユッカ計画で裁定 規制委に審査の再開命令

米国コロンビア特別区の連邦巡回控訴裁判所は13日、ネバダ州ユッカマウンテンにおける高レベル放射性廃棄物と使用済み燃料の最終処分場建設について、認可申請書の審査を再開するよう米原子力規制委員会(NRC)に命じた。NRCによる審査手続きの拒否は放射性廃棄物法の違反に当たるとの裁定を2対1で下したもの。米国では廃棄物の保有州から選出された民主党議員も地元の利益重視で動くなど、議会は同計画の認可審査継続を超党派で支持しており、審査が完了すれば、政治的理由から同計画を打ち切ったオバマ政権に対し、同地が処分場として技術的に安全か否かの回答を明確に突きつけることが可能になる。

処分場の特定調査活動は1987年の廃棄物政策修正法によりユッカマウンテンに限定され、2002年にエネルギー省(DOE)が同地を大統領に推薦。連邦議会がネバダ州の拒否権を覆して、同地を建設サイトに確定した。DOEは2008年に処分場の建設認可申請書をNRCに提出し、審査手続きが開始されたが、オバマ政権の打ち切り方針を受け、DOEは10年3月にこの申請書の取り下げを申請した。NRCの原子力安全許認可会議(ASLB)は「DOEに申請取り下げの権限はない」としてこれを却下したが、NRCのヤツコ委員長(当時)は5名の委員中2名が不同意のまま技術審査の中止をスタッフに指示。また、2012会計年度で審査予算が付かなかったことを理由に、NRCは11会計年度末の同年9月をもって、同計画に関するすべての審査活動を終了していた。

[審査予算は残っている]

今回の控訴裁判では、放射性廃棄物が保管されているサウスカロライナとワシントン両州の政府および両州在住の個人や団体が、NRCに対して廃棄物政策法を遵守し、DOEの建設認可申請手続きを再開するよう求める「職務執行令」を上申。判決文の中で控訴裁は、「重要なことは、11会計年度でNRCの手元に審査の継続予算が少なくとも1110万ドル残っていた点だ」と指摘した。このため、予算的制約という停止理由に説得力はなく、NRCには政策的理由により、法令で義務付けられた審査を続ける意思がなかったことが示唆される。米国の如何なる法にも、手当てされた予算の利用をNRCが辞退するよう記載されておらず、NRCによる審査活動の停止は廃棄物政策法を軽視した違反行為に当たると明言している。

[産業界と議会は歓迎]

今回の裁定について米国商工会議所は、「議会がずっと以前に決定したことが再確認された」と評価。オバマ政権はこれを白紙にするべく試みてきたが、廃棄物政策法が約30年も前に明確に定めた計画を覆すには法改正しかない。今こそNRCが法を実行すべき時が到来したと述べた。

また、議会ではF.アプトンとJ.シムカス両下院議員が「NRCには議会の割当て予算を使って審査を完了する法的義務がある」と強調。NRCが直ちに審査を再開するよう議会は監視するとしている。なお、下院歳出委員会は10月から始まる2014会計年度予算で、認可審査完了費として2500万ドルを計上した。


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