放医研・重粒子がん治療で 脊椎肉腫に良好な結果 52%の生存率、副作用なく

放射線医学総合研究所は13日、手術による切除が不可能な脊椎肉腫47症例で、重粒子線治療による良好な生存率が得られたとする研究結果を発表した。これは、1996〜2011年に重粒子線治療を受けた患者について、治療の有効性、安全性を評価するため解析を行ったもので、今回の調査結果により、これまで完治の見込まれなかった患者に対し、有望な治療の選択肢が提供できるとともに、治療後も、生活の質の維持が期待されそうだ。

脊椎肉腫に対しては、手術による切除が第1選択となるが、病巣の場所や患者の状態によっては、手術できないこともあり、化学療法や従来の放射線治療でも完治が期待できないこともある。一方で、重粒子線治療は、肉腫に高い線量をピンポイントで照射でき、正常組織への影響を少なく抑えられるため、治療後の患者の生活の質を維持できる可能性も高い。

今回の調査では、切除不能な脊椎肉腫47症例(48病巣)に対する治療成績と副作用について解析したところ、治療してから5年目までに、重粒子線治療を行った場所に、がんが再発しなかった割合は79%、5年生存率は52%だった。生命に関わる重篤な副作用もなく、最近の診断では、28例の生存例のうち、22例は杖なしでも歩行できるなど、良好な治療成績が得られているとしている。


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