事故後、火力燃料費が倍増 エネ経済研 有価証券報告で発電費用分析

日本エネルギー経済研究所の研究グループは15日、福島原子力発電所事故後、発電総費用が著しく増加し、火力発電燃料費では10年度から12年度までで、ほぼ倍増したなどとする分析結果を発表した。

これは、国内の一般および卸電気事業者12社の有価証券報告書に基づき試算されたもので、事故前の10年度に7.5兆円だった発電総費用は、11年度に9.6兆円、12年度に10.6兆円に達しており、火力発電燃料費では、10年度の3.7兆円が11年度に6.1兆円、12年度には7.3兆円、特に、天然ガスと燃料油の購入額の増加が著しいとの分析結果となった。

発電費用の増加要因としては、化石燃料の輸入価格の上昇と、購入量の増加があるとしており、10年度から12年度にかけ、仮に、事故に伴う原子力発電量の減少分がそのまま火力で代替された場合には、化石燃料の購入額増加は3.6兆円となるが、価格上昇分が節電等による電力需要減で相殺され、さらに、原子力発電量の減少、為替レート変動なども加味して、3.1兆円のコスト増となったと分析している。

また、12社平均の発電単価は、原油価格の高騰で08年度に10.7円/kWhまで上昇したが、その後の下落に伴い、10年度には8.6円/kWhにまで下がったものの、事故を経て再度大幅に上昇し、11年度には11.8円/kWh、12年度には13.5円/kWhとなった。13年度は、円安の影響で、さらに上昇するものとみている。

この他、同研究グループは、同じく電気事業者の有価証券報告書を用い、1970〜2011年度の電源別長期発電コストの推移を分析し、モデルプラントに基づいた政府のコスト検証委員会による試算結果などとの比較・評価も行っている。


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