各省から来年度の概算要求提出 福島廃炉や除染、安全強化に重点 被災者健康管理を拡充 基盤研究や人材強化も 計画進捗最盛期で ITER、増額

政府の2014年度概算要求が8月末までに、各省庁より発表された。原子力関連についてみると、経済産業省では、「福島・被災地の復興加速」を重点政策の第一に掲げ、現在、進められている福島第一原子力発電所事故炉の廃炉に向けた取組で、対前年度比40億円増となる128億円を要求した。最速で20年度からの開始を見込む燃料デブリ取り出しに係る遠隔除染機器・装置の開発・実証の他、汚染水問題に関して、凍土方式による陸側遮水壁の設置など、抜本策を推進する。また、原子力の安全基盤構築・国際的取組で、前年比70億円増の244億円が計上された。

文部科学省では、ITER計画の実施で、前年度比136億円増の305億円、廃炉に向けた研究開発で同12億円増の78億円、原子力の基盤研究・人材育成で同29億円増の85億円を要求した。また、「もんじゅ」関連では、同21億円増の195億円を計上しており、原子力規制委員会の措置命令を踏まえた約3万項目の点検・検査を含め、施設の安全対策・維持管理に必要な取組を実施する。

原子力規制・防災対策関連では、原子力規制委員会と内閣府の計上分を合わせて、対前年度比169億円増の880億円を要求している。新規の要求事項としては、放射線監視施設整備、火山影響評価、事故の分析・評価、医療体制の実効性確保などがあげられている。

また、復興庁が取りまとめた東日本大震災復興特別会計のうちで、原子力災害関連は、対前年度比706億円減となる6558億円の要求額となっており、土壌除染や放射性物質汚染廃棄物処理の経費で5035億円と、多額を占めている。

原子力被災者の健康管理・不安対策では、環境省が、住民の個人被ばく線量把握事業などを新規計上したほか、県民健康管理調査支援のための人材育成も大幅に拡充している。


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