ロールス社とフォータム社がロスアトム社と合意 露型PWRの英国導入で協力

英国のロールスロイス社とフィンランドのフォータム社は5日、第3世代プラスのロシア型PWR(VVER)を英国で建設・操業する機会の可能性評価でロシアのロスアトム社と協力合意に達したと発表した。同日、ロスアトム社は英国のエネルギー気候変動省(DECC)と原子力平和利用分野の協力了解覚書に調印。同国の包括的設計審査(GDA)をすでにパスした仏アレバ社製EPRや4月に審査が始まった日立GE社のABWRなどに続き、VVERで同審査とサイト認可に向けた準備が開始される見通しとなった。

ロールス社は英国政府の「先進原子力機器製造研究センター」で産業界側の代表を務めるほか、原子力平和利用分野では最新式計装制御(I&C)技術等の供給で諸外国と契約した実績を持つ。ロスアトム社とは2011年9月、キャメロン首相が推進するロシアとの貿易拡大政策の一環として民生用原子力分野での協力覚書を調印して以降、緊密に連携。今回の合意ではVVERの正式なGDA審査でロスアトム社が最初の一歩を踏み出すのに先立ち、同設計のエンジニアリングや安全性評価など準備作業を請け負うことになる。

また、フォータム社はフィンランドのロビーサ原子力発電所で50万kW級のVVER(計装制御系は独シーメンス社製)2基を30年以上操業。同原発に3号機を増設する計画は10年7月にフィンランド議会から否決されたが、原子力安全や廃棄物管理の分野で蓄積してきた専門的知見を生かし、英国にVVERを建設するための準備・分析作業や建設サイトで認可を受ける可能性の評価などロスアトム社の新設計画全体を支援していく。ただし今回、英国の新設プログラムに対する投資については、現時点で何も決定していない点を強調している。

原子力平和利用分野におけるロスアトム社とDECCの協力覚書には、同社のS.キリエンコ総裁とDECCのM.ファロン・エネルギー担当閣外相がモスクワで調印した。両国政府は今年6月、原子力を含むエネルギー分野における協力関係強化で高官級協議や閣僚級協議の実施を促進することで合意。英国側はロシアが世界中で展開している原子炉建設計画に英国の原子力供給企業を参加させることにより、盤石な国内供給チェーンと輸出基盤の整備を計画している。

一方ロシアは、既存原子炉の多くが中期的に廃止時期を迎える英国のエネルギー市場を魅力的な事業機会と認識しており、同国政府がCO排出量の抜本的な抑制を目指していることも、国家的な原子力新設計画の実施が保証される環境を生み出していると指摘した。

ロスアトムは同社の最新型VVERについて、動的および静的システムを組み合わせた独自の安全系を装備していると強調。外部電源や冷却水の供給が途絶した場合でも環境の安全性は十分保たれると保証している。


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