ストロンチウム迅速分析 福島大学など プラズマ装置で

福島大学は18日、パーキンエルマージャパンや日本原子力研究開発機構、海洋研究開発機構との合同チームで、放射性物質のひとつであるストロンチウム90(90Sr)を迅速に分析できる手法を開発したと発表した。

90Srはベータ線のみを出す放射性核種で、放射性セシウムなどのガンマ線を出す放射性核種と異なり、複雑な分析作業と長時間(2週間〜1か月)にわたる化学処理および熟練の技術が必要だった。

今回、合同チームは高周波誘導結合プラズマ―質量分析装置(ICP―MS)と呼ぶ分析機器を基軸として90Sr分析に特化した分析手法を開発した。装置内の測定元素が通過する2か所に『オンライン濃縮分離機能』と『リアクション機能』のストロンチウム認識機能を備えることで、段階的にストロンチウムだけが集まるシステムを構築した。

測定に必要な装置稼働時間は約15分で、土壌試料などの固体試料の分解操作を含めたすべての作業工程を含めても8検体で3時間(=1検体当たり約20分)。10mLの試料導入時における検出下限値は土壌濃度で約5Bq/kg(重量濃度換算:0・9pg/kg)、溶液濃度で約3Bq/L(0・5ppq)だった。迅速性で、現状のスクリーニング法としての利用が期待できる。

またこの方法は、非密封放射性物質としての管理が必要な放射性ストロンチウム標準溶液を使用することなく分析できるため、緊急時において一般の環境分析機関でも測定することが可能。また、全自動で分析するため、試料分解液を注入後、化学処理で測定者が被ばくすることがないなどの特徴がある。


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