米規制委員長の権限分散へ 米議員が両院に法案提出

米原子力規制委員会(NRC)における委員長権限を5名の委員全員に分散させるなど、委員会メンバーの役割と権限の範囲を明確化するとともに、その政策・規則策定活動を指導することを目的としたNRC改革計画成文化・補完法案が18日、2名の共和党議員により米議会の上下両院に提出された。

NRCのG.ヤツコ前委員長は昨年5月、任期切れを待たずに辞職に追い込まれたが、その際、特定の情報を残りの委員4名に伝えなかった、あるいは上級スタッフを恫喝したなどとして糾弾された。その反省から、今回の法案は委員長による権限の乱用や管理上の不行き届きを将来的に防ぐ狙いがあると見られている。

この法案は上院の環境・公共事業委員会に属するD.ビッター議員と、下院の商業・製造業・貿易小委員会のL.テリー委員長が作成したもので、1980年に発表されたものの議会票決に至らなかった「NRC改革計画」を法律として成文化した内容。ここではNRC委員全員にNRC内の全情報に平等にアクセスする権限、および欠員を補充する権限があると明記している。

ビッター議員によると、NRCは米政府内で非常に重要な役割を担っているため、良識的な法律の下支えがなくては効果的な運営は望めない。このため、同法案によってNRCの機能を支援する一方、シンプルなチェック&バランス機能をある程度導入する事により、一層効果的なNRCの運営と権限の乱用回避を目指したいとしている。

テリー委員長も、「原子力に対してどのような立場を取ろうと、我々は皆、NRCがより良く機能する必要があると考える点では一致している」と強調。NRCに対する信頼の失墜は二度とあってはならないとし、今回の法案はNRCが米国民の期待するレベルで機能するよう支援する最初の良き一歩なのだと説明した。


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