経産省の自主的安全性向上WG 組織の安全文化などを議論 航空業界事故教訓 「顧客の視点から出発」

原子力の自主的安全性向上を検討する経済産業省の有識者ワーキングループは7日、日本航空よりプレゼンテーションを受け、リスクマネジメントと組織のあり方について議論した(=写真)。

日本航空の安全推進本部の権藤信武喜氏は、グループ全体で取り組む安全管理体制の強化、安全文化の醸成について、実例をあげながら説明。権藤氏は冒頭、1959〜2012年の世界の航空事故発生のデータから、年間の搭乗者死者数に減少傾向が見られないことなどを示しながら、「航空機を運航する限り絶対安全はない」と原子力関係者らに訴えかけた。

また、安全組織体制の強化について、権藤氏は、安全中枢組織を設置し、グループ全体にわたる管理体制を駆動させ、「全社一体となった安全推進」を強調した。さらに、安全文化の醸成は、「利用客の視点から生まれる」とのアドバイザリーグループの提言を踏まえ、自発的報告制度、非懲戒方針などによる正確な情報収集の他、「自分がお客様、またはその家族だったら」といった一人称・二人称の視点を持ちつつ、プロとして冷静に業務に当たる「2.5人称の視点」を安全向上の原動力に据えるよう、「心の習慣」付けに努めていることが述べられた。また教訓を継承する「学ぶ文化」醸成への取組みも紹介した。

これに対し、委員の谷口武俊氏(東京大学政策ビジョン研究センター教授)は、航空業界の企業間競争にも触れながら、原子力界ではリスクガバナンスが不十分なことを指摘し、また、オブザバーで出席した関西電力副社長の豊松秀己氏は、安全システム全体を俯瞰できる人材の育成が「極めて重要」と強調した。


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