産業界の連携強化を確認 日米原子力ワーキング 公開セミナーを開催

日米の原子力に係る有識者が福島発電所事故後の課題について議論する公開セミナーが、9月30日から10月3日にかけて国内3か所で開催され、事故炉廃止措置や汚染水問題に対し、両国の産業界が緊密に連携していく必要を訴えかけた(=写真)。

これは、米国のマンスフィールド財団が中心となって取りまとめた「日米原子力ワーキンググループ」共同提言の完訳を機に、福岡、大阪、東京の順に国内3か所で行われたセミナーで、「ポスト3.11時代」を標榜し、今後の原子力政策に関連し、日本が取り組むべき国内・国際的課題について、ワーキンググループのメンバーらが議論した。共同提言は、原子力災害被災地住民の健康対策、廃炉措置と除染への取組、プルトニウム政策の信頼確保、事故から得られた教訓の世界への発信といった今後のエネルギー政策如何にかかわらず取り組まねばならない課題を述べ、日米の産業界・政府に共同作業、リーダーシップの発揮を訴えている。

東京では、3日に、港区の国際文化会館で開催され、核不拡散問題に明るい一橋大学教授の秋山信将氏は、使用済み燃料処理処分の検討に関する国際的枠組み構築の必要性、ロシア、中国、韓国をはじめとする世界の原子力市場の構造変化、新興国の経済成長などから、日米原子力協力の連係強化の必要を訴えた。

また、2020年の東京オリンピック開催決定に際して、安倍首相が述べた汚染水問題の解決に関し、「少なくとも7年後にはコントロールされているべきもの」と秋山氏が述べたのに対し、コメンテーターとして出席した日米協会会長の藤崎一郎氏は、「日本の国際的信頼回復にも関わる最大の問題」として、直ちに解決すべきことと主張した。

海外メーカーの立場から、バブコック&ウィルコックス社のクレイグ・ハンセン氏は、日本の高度な鍛造技術に言及しながら、福島発電所事故を「原子力産業界が立ち直る契機」とみて、日米産業界のパートナーシップをサポートしていく考えを強調した。

また、安全規制関連では、米国戦略国際問題研究所のシャロン・スクアソーニ氏が、「世界から非常に注目を集めている」として、海外からのピアレビュー促進、規制当局を監視する政治家の配置など、より信頼性を高めていく必要を述べた。


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